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旧ソ連の計画経済なんてものは、これっぽちも信用してない(そもそも官僚主導ってのは無理がある)んだが、にも拘らず、現実問題として国有化したほうが良い分野ってのがあるように思える。具体的には、医療、ソフトウェア、2次資源、教育についてだ。
ここでは、マズローの5段階の高次レベルに我々が既に達しているという前提が必要だ。3000年前の管子にならって衣食が足りて礼節に気を回せる状態と言っても良い。広いノウアスフィアを獲得することに満足を得ることができるから、企業という利潤追求組織だけが必ずしも必死の競争をしなくても済むという前提がなければ、ただのスーダラ(デモシカっていう日本語もあるな)技術官僚が生み出されるだけに終わるだろう。そうでなく、開墾すべき土地とそれを開墾したという事実によって競争が動機付けられるのであれば、市場における自由競争という場が不要ということだ。
視点を変えても良いかも知れない。集団対集団での競争でなければ成果を生み出せない規模の産業については、自由市場とその場におけるプレイヤーとして企業が必要かも知れないが、ソフトウェア、医療技術(というよりは医薬品の開発ということになるかも知れない)、教育というジャンルについてはおそらく圧倒的に個人の能力が重要なはずだ。もっとも効果的に適用するという作業のほうが遥かに多いために、実際には仕出屋が必要ではないかと予想できるし、あまりに大量の技術官僚を国家が抱えては、税金を誰が払うのかという根源的な問題まで出てきてしまう。
ちなみに、日本医師会の会員数が約15万人なので、中央公務員が約150万人、地方公務員が320万人と考えると、別段、公務員にしてしまってもそんなに影響は無いようにも思える(もっとも、ロールスロイスに乗るのを楽しみに医者になるような人間はお呼びではなくなるだろうが、そもそもノウアスフィアの開墾にモチベーションを持てない人間は、その職業を選択して欲しくはない)。
でもまあ、国有化したら、間違いなく腐敗しそうな気がするんだな、これが。
思い出したこと。第2電々が誕生したとき、考えた。
だったら、国家も2つにしたらどうかなぁ、と。
民主日本(強力な累進課税を採用した超福祉国家。民主党とは関係ない。本当は社民国家だな)と、自由日本(強力な消費税のみを採用した福祉0国家。もちろん年金なんかなしですぜ)。
選択は20歳の時、1回だけ。どちらかへの所属を決定できる。そうじゃないと、自由日本で働くだけ働いて引退してから民主日本へ移動するなんてデタラメができちゃうからね。
で、国会議事堂も、省庁もちゃんとそれぞれの日本が持つわけ。民主日本なんか、政治に金をかけないからって国会を日比谷野音で開いたりするんだけど、自由日本は臨海副都心を買い取ってすさまじい官僚都市を建設するとか。
もちろん、地方自治体も同じ。ちゃんと2つある。当然、南北に分かれるとかそういうことではなく、ただただ並存しているのだ。電々と第2電々と同じで、国家(と地方自治体)が国民を得るために競争するということだ。
110番に電話しても、違う国家の人の面倒は見ない。すぐに電話が2種類になる。もちろん、民主日本の警察は犯罪予防とかきっちりやるんだけど、自由日本の警察は治安維持しかしないうえに数も少ない。そのかわり強力な軍隊を持つ。もちろん、憲法はお互い別物。
天皇の扱いにはちょっと混乱があった。しかし結局、民主日本は旧日本国の憲法を1字1句変えていないから、やはり象徴として扱うことになる。自由日本は本当はいらないんだけど、そうも言えないし、かといってそれ以上のことはできないから、憲法はほとんど書き直しているんだけどなぜか3条だけは旧日本国憲法のまま。どっちにしても象徴ですなぁ、ということで1系は守られることになる。
さすがに旧日本のインフラはそのまま利用することになるから、山手線なんか、面倒で、自由日本だと渋谷−新宿間は3200円(だって電車は庶民の乗り物だから標準的な国民はそんなものは利用しない)だけど民主日本人は130円で乗れる。でもすぐに民主日本側の鉄道労働者組合の賃上げストが起きて180円に値上げだ。もっともストの間も自由日本側の運用は行われているから全く足に対する影響はなかったりして。
高級レストランには、「犬と民主お断り」って張り紙が出ているが、金持ちでも民主日本国民は居て、そういう人たちは身なりも良いから普通に入れたりする。でも、「偽善者」とかいうひそひそ声が聞こえてきて居心地は悪いんだな。
悲惨なのはなんたって、破産した自由日本国民だ。もちろん生活保護なんて無いし、民主日本と違うから公団住宅なんて気の利いたものもないから、すぐに青テント暮らしとなる。でも、自由日本が管理している公園だと警官に強制排除されたり殴られたりするから、民主日本側の公園で泊まることになる。で、親切な保護司とかが来るんだけど身分証明書を見せると「所属する国家に面倒みてもらってください」と慇懃無礼に追い立てられることになる。でも民主日本は愚かなことに国民総背番号制とか導入してないし、建国時点で戸籍を一旦チャラにしたから(多分、出身地に由来する部落差別解消とかを考えたんだろう)、なんとなく潜り込むことができないわけではない。
買った、読んだ、考えた。特にゼロックスのあたり。
そう言や、大企業の絶滅なんてのも以前、買った、読んだ、考えた(でもどの企業か忘れた)ので、このテの本は嫌いじゃない。ってか、親父本。
どっちも共通点は、CEOの役割を非常に重視してる点。絶滅しちゃった企業を取り上げているだけに後者のほうが印象が強力だが、前者のほうがそれなりに先入見を持っている企業が取り上げられているので興味深いかも知れない。いずれにしろ、状況分析−戦略(戦術の場合も)実行−結果−マズー(PDCA−Plan Do Check Action)が書いてあるから、過去の教訓から何かを引き出して人を煙に巻くのには使えそうだ。
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