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ドライヤーじゃないんだからグートルネだな。
狩から帰って来て、黒い下着姿のグートルネにジークフリートの死を告げるシーンの演出、妙な感じだったが、この2人も兄弟であった。
もしかすると、ここでは(方法は異なるが)ジークムントと重ねているのかも。
であれば、ヴォータンと重ね、ジークムントと重ね、ジークフリートと重ねることで、ハーゲンに収斂するというかハーゲンこそが主役であるという構造を作りたかったのかも、と思う。
もちろん、すべてはアルベリヒの呪いの上で舞台が回るわけだから、ハーゲンに収斂するのは当然だし、性格の複雑さという意味では、ヴォータンとハーゲンが双璧なわけだし(だから神々の黄昏ではそれまで出ずっぱりで舞台を回すヴォータンが不在でも済むとも言える)、なかなかに興味深い。
というか、耳に残っているのは意外と葬送の部分なのであった。ドンドン。
・舞台のスティールで、ラインの黄金では、ローゲだけ黒い服だったのを知る。
ローゲ(半神)、ジークムント(半人)、ハーゲン(半ニーベルンゲン)。
(唄マーク)陽気な連中はまだ4月だと言うが、土気色したオレはもう4月だと言う。
以前、誕生日をずらすのは無理だろうな、と書いたところ、大正天皇の時、それが行われたと教わった。全然、知らなかったが、考えてみれば、もともと大正天皇については、ほとんど何も知らないことに気付く。
唯一知っているのは遠眼鏡事件と、実母は公の席では母ではないからとても悲しがっていたのを見て息子が一夫一婦制を守ると決めたというようなエピソードくらいだ。というわけで紹介していただいた本をクリック。
パラパラ読んだ感じを稗史風に描くと、大隈重信らと語らいながら、開放(デモクラシー)路線で突き進もうとする大正天皇に対し、山縣(また長州か……)らが抑圧をかけ(稗史だと、わかりやすく一服盛ることこになるが)大正デモクラシーを圧殺。それと同時に、天皇が病気になるという事実を国民が知ることから、神ではなく超権力を携えた人間としての天皇が思想史的に姿をあらわし、かくして、昭和の道を突っ走ることになる、ということのようだ。なぜ、大正デモクラシーというものが生まれ、生まれた瞬間に圧殺されたかという問題ともからむんだろうなぁ。
日本の近代史において、いち早く海を渡ることで近代的な政治や経済を司る官僚として目覚めた幕府の有能(かどうか手腕を振るう前にほとんどが始末されてしまったわけだが)な役人や高度に発達した市民文化を育んでいた江戸の町人を追いやって、藩閥の利権争いの延長で海まで越えていった長州の連中の存在ってのが、この時代まで暗雲を投げかけていたという事実にあらためて嫌な気持ちになる。
ここに描かれた、諸国を回って民情を視察し(政治的には地域開発のための利権などを生んで石橋湛山に文句を書かれたりしているが)同情したり疑問を聞いたりする本当の意味での人間的な天皇という路線が長続きできればいろいろ違ったんだろうな、と思いを巡らして見たり。
結局は、巡幸が人間的であってはならないという教訓を与えてしまったために、次の時代のただただうなずくだけの人間天皇というシステムを作らせてしまう原因となって、その存在もあってはならない人間天皇の実証実験として封印されてしまうことになったわけで、おそらくそれは国民にとっても天皇にとっても残念なことだ。
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