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日々の破片

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2005-05-27

_ 熊って本当に食べ残しを分けるのかな?

ゴースト・ドッグ [DVD](フォレスト・ウィテカー)

熊が食べ残しを分け与えるという、なんか嘘臭い話は、ジムジャームッシュのゴーストドッグに出てくる。

ゴーストドッグ(というコードネームというより、ボビーデジタルみたいなものでなんかのハンドル名みたいだ)という名の殺し屋が主人公だ。初老のイタリアマフィアにその昔、命を助けられた恩を忘れず、難しい依頼を黙々とこなす。愛読書が葉隠れで、武士道にかぶれているから、忠の一字ということらしい。で、歩いて連絡を取れるような距離に住んでいるのにわざわざ伝書バトを使って殺しの依頼を受けたり。壊れそうなビルの屋上の鳩小屋の隣の狭い部屋で暮らしていて真剣で素振りをしたりして暮らしている。で、街をうろついていると向こうからRZAが歩いてきてブラザーブラザーと挨拶したり。で、盗んだ車に乗って殺しに行く時には、ばかでかい音でラップを聴くわけだが。

で、確か、ハイウェイを走らせていると、数人の男が熊を殺しているんだっけな? で、それを見てむちゃくちゃ怒り出して、熊のほうがてめえらより偉いんだ。なぜなら……てな調子で食べ残しの話が出てくる。結局、クマ殺しは全員殺されてしまうんじゃなかったけな。

ジムジャームッシュの映画はほとんどが与太話からできている。どれだけくだらない与太話を真剣な顔して相手に話して聴かせるか、それを聴いてどう反応するか、というのをスクリーンに映し出す。

街角で出会った黒人からオーバーザレインボウに取り付かれた音楽家の話を聴かされる。で、ピポピポピポピポ……ドップラー効果だ。とか、こないだ見たやつだとプレスリーの兄貴とか、霧の摩周湖の望遠鏡とか。

ゴーストドッグは妙に物悲しい(というのは主人公がばかばかしく武士道というものに対して愚直だからだが)ので、どこまでを与太として想定しているのか判断に苦しむところがある(と思わせるところがすでに与太話のようなものだ)。

とはいうものの、どうせ熊の話も与太だろうとは思ってはいるのだが、それでも好きな話なんでなんとなく書いてみたら反応があったりして、さすがにどこまで与太か気になった。

調べてみると、「クマ」が味を覚えて人を襲うから「食べ残し」を山に置いてこないでください、みたいな逆方向のページや怪しげな自然保護団体の(っていうかゴーストドッグの武士道みたいなものだ)ページがじゃかすか引っかかるが、クマの食べ残したサケで森が育つというのは信憑性が高そうに見える。後、行動半径がやたらに広いからどんぐりの種をそこらにばらまく森の使者みたいなことを書いているページもあったり。

日本のクマは絶滅寸前みたいだが、でも、山の中で黒くて大きい(というほどは大きくはないようだが)のがうろうろしてる光景ってのはなんとなく楽しい。


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