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ピンクフロイド……(ちょっとイヤ)
心象をそのまま映像に載せる手法。
作家本人自身が映画の中に現れる。逮捕されて退場。
モロが台本を持っているということでフィクションだと強調しているのかな。あるいは、赤いシナリオ通りだとか。
バーダーマインホフ、赤い旅団、PFLP、あたりは有名だが、フランスやアメリカにはそのての組織は無かったのかな? IRAはずいぶん違う毛色に見える。それを言ったらPFLPもか。日本だと、あのてはおそらく狼とかなんだろうけど方向性がずいぶん違う。要人テロに対してハイジャックや無差別爆弾みたいな普通の人の集団に対するテロ。日本のほうが警護が固いからとか武器の入手性とかの技術的な問題なのかな。それとも責任を個人に付ける考え方と、みんなの責任とする考え方の差なのかも。
実にかっちりとした硬い演出。硬い演出+心象の映像化(しかしぼやかせたりもやをかけたりせずに、現実と同じ硬さを保たせる)。
間の取り方がうまい。最初からうまい。今もうまい。
だから、会話がいつみても驚くほどおもしろい。
出だしのほうで疲れて眠ってしまったがローの映像が見えてあまりの異様さに目が覚めた。
最後の本当の息子のように感じさせる演出。
カーステからはエチオピア音楽。なんか演歌調。相変わらず変なところで変な違和感を持ち込む演出。
ストラヴィンスキーのプルチネッラは、ペルゴレージの曲と思われていたものを利用してストラヴィンスキーが古典的な振る舞いを身につけるべき再構成した作品だ。
以前、タッシのきれいな演奏(組曲版)を持っていたが当然のように逸失、今は手元にホグウッドが振った全曲版がある(が、アマゾンには無いようだ。というか、プルチネラ、プルチネルラ、プルチネッラそれぞれで異なる演奏が小出しで出てくるのはどうにかならんもんか。原題——でも英語を取るかフランス語を取るかとか、それはそれで問題山積みか——を持ってそれを共通で見るとか。っていうかオーパス番号使えばいいんじゃないか? でも手元のCDには表記されてないな。ストラヴィンスキーって管理されてないのか?)。
で、この曲はとても楽しいのだが、はっきりいってまじめに構成を聴くような曲じゃない(少なくても僕にとっては)。ディベルティメントなんかと同じく、ただただ流しておくだけ。ミュザックだ。
で、出だしがダンバートンオークス協奏曲という別の曲だというのは知っていた。というか、プルチネッラと言えば、チャーチャチャーチャチャチャッチャー、ターラカターラリラリラーという冒頭の楽しい主題で、それが始まれば、ああ、ペルゴレージ、ああ、プルチネッラと思ってた。
ずーっと思ってた。
ところが、つい暇を感じたので、しげしげとCDを眺めると、ガローの2つのヴァイオリンとコンティヌオのためのトリオソナタ第1番というのが見えた。コンティヌオなんて言わずにツウソウ低音と書きゃ良いのにと思ったが変換されないんじゃ、カタカナなのもやむをえまい。
なんじゃこりゃ? なんでこんな聞いたこともないものが入ってるんだ? というか全然、入ってることにすら気づかずに聞き流していたわけだが、と思ってライナーを読むと、これまでペルゴレージだと思ってたら実は間違いで、いろんな人の作品がなんでもかんでもペルゴレージの作品として伝わってたということらしい(もちろん、ストラヴィンスキーはそんなことは知らない)。それが最近の研究で明らかになったので、原曲の1つのガローの曲を参考に収録したとのこと。ホグウッドらしいな。
で、なんてこった、あの出だしの、これぞプルチネッラ、これぞペルゴレージと僕がこれっぽちも疑ってなかった、あのメロディーが、ガローのトリオソナタだったのだ。しかも解説によると、全然ペルゴレージっぽくなくて、もっと後世のギャランスな感じの曲だとか。でも、同じなんだが。
教訓を得られるだろうか? ストラヴィンスキーがリスペクトしまくったのはガローじゃない。ペルゴレージだ。ガローなんてのは歴史に呑まれた消えた音楽家に過ぎない。でも、そのリスペクトのおかげで、ガローという名前はよみがえり、そのトリオソナタはプルチネッラとともに不朽となった(と今気づいたおれが言う)。
良い作品は作家の名前と独立して動き出す(その過程でより有名な作家のものと誤って伝わることもある)。
過去の作品をリスペクトして自分の作品に取り入れるという手法がある。その手法により、過去の作家に陽が当たる。
研究者は研究する。陽が当たれば研究も深くなる。
そして最後に忘却の彼方から忘れられた真の作家が見出される。
実におもしろい。
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「プルチネルラ」「ラグタイム」「狐」「八重奏曲」(サロネン(エサ=ペッカ))
これ、良さそうだな。
でも、おれは今はアゴンが聞きたい。ピタゴラスィッチなバレエだと思ったけど、どんなんだったかな? 確か新古典+12音音楽で作られた曲のように覚えてるけど。
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