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60年か。ここまで来るにはそのくらいの歳月が必要だったということかな。
突然とうとうと状況を分析し思いのたけを話し出すというスタイルは何か元になるデータに基づいているんだろうか。だとしたら、例のあれもさもありなんと思わざるを得ない。
すぐれた歴史物語であると同時に、それだけに強い真実味を感じさせてくれる作品。確かに、ソクロフは天才ともてはやされた(今はどうだか知らない)ことはある。が、最初の時点の画家の映画の予告編があまりにタルコフスキーみたいで(=長くて退屈)敬遠してしまったのだが、実は大きな間違いだったかも。
#しかし、映画というのは本当に優れて政治的な宣伝手段で、この映画をみて昭和天皇のことを好きにならない人ってのはちょっと考えにくい。あまり旧左翼的な立場からの言及がない(まあ気づいてないというだけかも知れないけど)のは、まさにそういうことなんじゃなかろうか。ここに描かれた真実味あふれる天皇像は本当に弱々しくしかし毅然としていて、しかも自らの責任を十二分に理解していてしかもそれをきちんと果たそうとしている(まさに人間のありようである)。
#大正13年ってそんなに重要な事件だったのか? という疑問。と書いてからリンク先を読むとまさにそう書いてあったり。良く調べてるわ、あたりまえか。(この点をクローズアップすると愚かな結論になるわけで、太平洋戦争と日中戦争はきちんと分けて考える必要がある。この映画の主人公がどのように関わっているかということとは切り離して)
#予告編が蟻の兵隊というのが示唆的で、かっての日本の一番上と一番下の苦衷か。
#なんとなく見に行く人へのヒント。パトスはある意味で地獄の底だから、並んで待つのには向いていない。必ず初回(11:00の回が妥当)の1時間以上前に行くか、ぴあリザーブシートを利用すること。信じられないほど混んでいる。10:00に行って正解だった。
(追記:2007/9/3 購入予定)
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