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ちょっと耳にした言葉であるが、ある程度の量の、なんか似合わないというか馴染んでないスーツ姿の男女が次々と、ITは未経験ですが頑張りますとか、ITは初心者ですが頑張りますとか口にしているのを見て、猛烈な違和感に気持ち悪くなった。一人二人ならともかくほぼ全員だからな。
日本語で、「情報技術」とすれば、確かに、未経験だったり初心者(この言葉そのものが嫌いなのはおいておくとして)そんなにおかしくはないかなとは思う。少なくとも頭では理解できる。別の言葉に置き換えてみて、「旋盤加工(技術)」は初心者ですが頑張ります、とかはそんなにおかしくはない。だが、大学を出たばかりの人間が、工場で「旋盤加工は初心者ですが頑張ります」ってのはやはり変だろ。だって、そんな技術は教えられていないはずだから、あまりに自明だ。まして、ITってなんだ? そんなものを教えているところがあるのだろうか。CSなら教えるだろうが、だからといって「CSは経験者ですが頑張ります」ってもっと妙だ。つまるところ、口に出す言葉じゃないんじゃないか。
というか、それが職掌ではないから違和感があるのかも。業界の分類名だよな。
初当選の議員の初登院のところにマイクを向けたら、「政治は未経験ですが頑張ります」いやもっと端的に「先進国は未経験ですが頑張ります」とか答えているところを想像してみる。業界の分類名としたらそんなところだろう。だが、こんなことをいうバカに投票したやつは愚民に違いない。
職掌ならどうだろうか。「議員は未経験ですが頑張ります」……やっぱり投票したやつは愚民だな。「未経験のパワーで旋風を巻き起こします」というようなたわごとのほうがまだましに聞こえる。
まったく日本語は難しい。
そんなに頑張りたいのなら、もっと単純に、「右も左もわかりませんが、精一杯頑張りますので、よろしくお願いいたします」とか当たり障りも意味もないことを言えば良いのだ。それが紋切型メソッドという伝統芸だし。
つまりは、未経験だの初心者だのという言葉は差別用語として禁止してしまえば良いのだな。言い換え候補としては「へなちょこ」とか「すっとこどっこい」あたりだろう。
MLで「Rubyはへなちょこですが頑張ります」とか。
でもLinuxについては「タコ」という言い換えが推奨されているらしいけどな。「Linuxはタコですが頑張ります」とか。
そうか。「〜はXXです」というのは〜が主語に聞こえるから異常な言葉に感じるのか。「あなたはカスですが頑張ります」とか。これで自分のことを卑下したつもりなんだからめでたいことだ。
「あけましてはおめでとうございますが頑張ります」これなら良い。
あと、気づいたが、どうせ紋切型の無意味な科白なんだから「頑張ります」より「踏ん張ります」のほうが気が利いていて良いかも。
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