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日々の破片

著作一覧

2009-04-23

_ なんとも奇妙な現実主義者

オライリーからリファクタリング?ウェットウェアの献本きて、えらくおもしろくて、あっというまにほぼ読了した。どうもありがとうございます。

しかし、はたと考える。おもしろいは、どえらくおもしろいのだが、この本は、なんかいやなスメルジャコフ。ウェットウェア=生ものだし。

リファクタリング・ウェットウェア ―達人プログラマーの思考法と学習法(Andy Hunt)

アンディハント(いわずとしれた、Tell Don't AskとかDRYの達人プログラマの片割れ)は、この比較的薄い本で、何を書いているのだろうか。

それは、身も蓋もない言い方をすれば、「右脳を使え!」ということだ。それだけだ(追記:いやまてSMART)。

いちおう、いろいろ調べて書いているようで、そこまで身も蓋もないことは言わないけど。右左の分類はどうやら正しくはなさそうだ。したがって、LとR(LeftとRightじゃないよ、LinearとRich(LogicalとR?となって、直線的思考モードと、あっちいったりこっちいったりと何やら豊饒な思考ではないモードに分けたような)の2つのモード)に区別して、Rを使おう、そのためにはどうすればよいだろうか、と、昔々の水平思考の本とかみたいなお話集になる。

最初はドレイファスモデルというのの説明。看護士に役立ったというやつ。人間は初心者、中級者、上級者、熟練者、達人の5段階の習熟度モデルを持つ。たいていの人は中級者。なにやら、about faceのような。

About Face 3 インタラクションデザインの極意(Alan Cooper)

達人は初心者の40倍の生産性を持つ。彼らにルールを作らせると、中級者も一騎当千の強者となる。だがしかし、熟練者や達人をルールで縛ると、中級者並みの無能っぷりをさらけだす。

このモデルは、とてもしっくり来て、すごく説得力がある。まるで血液型性格診断だ。おっと、眉に唾をつけてはいけない。それはLモード。大事なのはRモード。直観を信じ、類推に頼るんだ、ルーク。(もっとも、相関関係と因果関係の違いに気をつけろよ、とか押さえるところは押さえているのは、さすがにプログラマ)

つまり、怪しげな香りがぷんぷんしてくる本だ。

だが、おもしろい。なぜおもしろいのかは、読めばわかる。

さて、おれはロゴスの人なので、いつも頭の中には言葉が渦を巻いている。したがって、Lモード(ところでNTTはどうしたのかな)マターなようだ。しかし、おれは何かを考えるとき、まずパターンマッチングをして、つまり類推して考える。そういう思考方法をするようになんとなく訓練してしまったからだ。さらに、イドラを捨てるべく血がにじむような努力のおかげで、先入見から完全に解放されている。なんという二次無能力者であることか(二次無能力とは、自分がどれほど無知かをわかっていない状態をさす)。

というわけでコンテキスト重要。

ここで、引用をしておこう。

そして、生半可ではない「本気の努力」が必要です。10年間、ただ取り組むだけでは不十分で、激しい訓練が必要なのです。著名な
泥ですね。

おそらく、この本を読み、真に何かを得て、それによってさらなる高みへ行ける人は、この本を読まない人ではないだろうか。たとえばなしに耳を貸すことはなく、常に論理を重んじ、数値化を基盤として物事をきちんと図り、計画するような人間は、おそらくこの本を読み始めて、すぐに捨ててしまうだろうが、実は何かが得られる可能性を投げ捨てたことになる。一方、この本を楽しめる人は、この本からは何も得られないのではなかろうか。

読んでいると、二次無能力という言葉の呪いにかけられてしまうからだ。だって、当たり前のことしか書いてないんだもん。

そこで思うに、まずは、本物、解説書ではなく、そのものずばりを読む、レーニン流読書術(カウツキーは読むな、マルクスを読め)を試してみるのも一興だろう。

臨済録 (岩波文庫)(入矢 義高)

こんな本だよ

でも、まあ、掛け値なしに、おもしろかったです。

追記:脳ミソをデバッグするという考え方こそ、この本の価値。

さらに追記:まだ続く

_ RubyでRモードプログラミング

T/O


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