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上野で東京バレエ団のラ・バヤデール。
どうも、母体のNBSが妙に新国立劇場に含みがあるようで(ときどきチラシに苦言だか文句だか厭味だかが書いてある)、この演目は当てつけのような気がする。というくらいに、舞台から衣裳から力が入った力作だった。
が、元のバレエがそうなのかも知れないが、第1幕がインド(ヒンズー教)、第2幕が中国(道教)でもベッドの上にはインド風の孔雀、第3幕がタイ(小乗仏教)と無茶苦茶なアジア旅行は、せめて第3幕もインドにしておいたほうが良かったとは思う。思うが、たなびく雲、遥かに続く回廊、ハップル望遠鏡の世界のような寺院崩壊後の世界と、舞台美術は相当なもので、えらく見なおした(好みかどうかは別だが)。
2幕の坂道はさすがに初台ほどは奥行きがないので1段だけだったが、緊張感をきちんと維持していて観ていて美しい。というか、東京バレエ団のコールドバレエは観ていてきれいで楽しい(で、そういうものだろうと思っていると、DVDでパリオペラ座のバレエとか観てあまりの揃い方に、いやいやまだまだなんですな、とわかったりするのだが)。
それにしても、ラ・バヤデールは舞台芸術としては破たんしているとしか思えない。1幕と2幕は良いのだが、3幕が無理やり終わらせるための学芸会のようなシナリオとなっているからだ。あるいは、この幕は、婚礼の行進を見せ場とするように作るのが本来なのだろうか。
ドニゼッティのような名前の太守の娘を踊った人が実によかった。
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