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妙にきっちりと終わってしまった。もっとだらだらと続けて欲しかったような気もするが、しょうがないか。
これで、継続して買っているマンガで残ったのはへうげものと隠の王だけになってしまった。と思ったらシグルイもあった(軍鶏はどうにもならないのかな?)。
以前買ったロイヤルのリゴレットをやっと観られた。
演出については後で書くとして、ジルダがすばらしく細身でまあ、これは確かにひ弱な(でも意思がやたらと強い)籠の鳥のようなジルダにふさわしい。というか、本当に歌手なのか? というほど細身。
で、最初はオーケストラに負けているような……と思って観ているわけだが声が美しいし、技術もしっかりしているので、何も問題ない。というよりもすばらしい。
しかも3幕で書生に変装するわけだが、きれいな赤毛のショートカットでむちゃくちゃかわいい。まるで賢い女狐みたいだ。
で、殺し屋スパラフチーレと殺し屋の妹とジルダの3重唱(リゴレットの中でおれが一番好きなところ)では、嵐を打ち破るような張りのある声で実にすばらしい。
で、いったいこの人は誰なんだ? とジャケットを見るとクリスチーヌ・シェファールと最初読んでもそんな人はいない。ロイヤルだからイギリス人かな? とクリスチーヌ・シェーファーで調べてもひっかかるようなひっかからないような、はて? と顔を見ているうちに、おれはこの人のCDを持っていることに気づく。
シェーンベルク:月に憑かれたピエロ、心のしげみ、ナポレオン・ボナパルトへの頌歌(シェーファー(クリスティーネ))
これかぁ。で、ドイツ人でクリスチーネだということを知る。こういうのを歌う人なら、そりゃ技術的にはうまいはずだ、と納得する。
クリスチーネか。
クリスチアーネじゃないのな。
で、ロイヤルのリゴレットはBBCの製作なのだが、マクヴィカーの演出がどうしたこうしたと結構いろいろな人が書いている(ジャケットにもボルドでCONTAINS NUDITYと書いてあるし)ので、まあ、モントヴァ公爵の宮廷では毎日がプロミスカスモードだから普通に女性が全裸でうろうろするんだろう、とか考えていた。
で、そのくらいは全然OKと、子供と一緒に観ていたのだが、出てくる女性たちがみんなドレスをずり下げておっぱいむき出しは良いのだが、リゴレットがマントヴァ公爵の受けを狙って股間に勺杖を付き立ててピストンピストンはじめたのもまあ良いとして、ついに大臣たちがモントローネ伯爵の娘を全裸にひん剥いて乱暴狼藉もまあ良いとして、と観ていたわけだが。
大臣たちがモントローネ伯爵の娘の相手をさせるために若者を連れてきて全裸にひん剥いてちんちんむき出しにはちょっとひいた。(当然、その後、無理やり二人を重ね合わせることになるのだが、それはまあ良い。というか、いまさらどうしようもないので良いのだが、モントローネ伯爵にとっては良いはずはなく、ついに呪詛を撒き散らして悲劇を呼ぶことになるわけだ)
はて、なぜおれは全裸女性はコード的にOKで、全裸男性はコード的にちょっとぴりぴり来たのだろうか? と不思議になった。(女性は全裸でも正面から見た普通の状態では性器そのものは見えないというのはあるかな?)
もし、おれがおれではなく、女性だったら、全裸男性はOKで、全裸女性にぴりぴり来るのかな? ――そうかも知れない。ってことは、セクシャルハラスメントを受けたときに感じるものってのは、おれがちんちん見させられたときに感じたものと同じようなものかも知れない。
まあ、21世紀にリゴレットを演じるならそこまでやらなければ異化効果が無いというのはわかるわけだが(結構、精神的にはショックだったようだ)、でもBBCを観ているイギリスの人々にとっては、全然、ありふれたテレビの中の光景かも知れないわけで、ふむ、単におれが保守的なだけかも知れんな、とも思う。
いずれにしても、シェーファーのジルダは素晴らしかったし、ちょっとスーパーマンっぽいマルチェロ・アルヴァレーズのマントヴァ公爵も良い感じだし(特に3幕のリズミカルな女心の唄はいいな)、リゴレットのパオロ・ガヴァネッリもいい感じだ。坊主頭のスパラフチーレはさすがにイメージとは違うが(おれにとってはどちらかというと泥棒詩人ラスネールみたいな口ひげ男のイメージなのだ)まじめで正しく誇り高い殺し屋っぽくて良い感じ(ちょっとマトリックスが入っているのかも)。
万人にお勧めできる現代的なリゴレットだった。
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