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タワーレコードでルグリのトークショー兼サイン会があるから行きたいとか子供が言い出した。でもタワーレコードがどこだか知らないとかいうから、西武の子供デパートの跡だといってから、それは生まれる前の話と気づき、面倒だから一緒に行った。
で、会場の6Fに行くと、どこにもそれっぽいホールはない。はて、と思いながらうろうろしてたら、売り場の一角に20席くらい用意してあってそこに人がすでに満杯で立ち見が10人くらい。しょぼい会場だな。まるでサブウェイのコンサートだ。で、それが30分前のことだ。
でも、考えてみれば、天下のルグリに30人はねぇよな。で、30分たつとそれでも100人以上(200人近くかも)は集まっていたようには思うが、それにしてもそんなものかな。
で、たまたまテノール売り場なので、やっぱり一番人気はホセクーラかと言えば、やっぱり今でもドミンゴやパバロッティなんだな、とかホセカレーラスがやたら充実しているなとか(ホセカレーラスはおれには固いわりに勇まし過ぎて好きになれない。こいつのラボエームのロドルフォとかどこのアンドレアシェニエ状態だし、こいつのアンドレアシェニエはどこのザックス親方状態だし、いつも何か嫌な方向に外しているようにおれには感じる)
そんな中に、初見の粋な歌手のCDが目立つ。リヒャルトタウバーとか書いてあるのだが、まったく知らない。まったく知らないがある時代のよき香りがしている。クレメンスクラウスとかエーリッヒのほうのクライバーとかだ。見ると1910年代とか1920年代とかの録音でSP復刻らしい。
で、気づくと
Richard Tauber - Opera Arias(Strauss, Richard)
とか手に取っていた。
ラボエームやら乾杯の歌やらエウゲニオネーギンやらと混じってコルンゴルトの死の都があって、これは買わなければならないだろうと思ったらしい。
針音の向こう(CDなのに針音とはこれいかに)から、ポルタメントがかかったヴァイオリンが聴こえて、比較的震わせ気味の声(実は、好きではない。どれだけストレートに突き抜けるデルモナコが好きなことか)だけど、確かにちょっとした節回しとかによきものを感じる。
で、ルグリはジーンズに白いシャツにグレーのプルか何か着てひょいひょい出てきて椅子に腰掛けて、割と高めの声でへらへら喋っていて実に良い感じだった。
最近は日本のお客さんも現代のものを観たいように思うからどうしたのようなことを言っていたけど、その実、マッツ・エックとかを演じられるとは思っていないだろうな。おれが呼び屋でも、マッツ・エックの(チャイコフスキーとかならともかく)ロルカのやつとかを演じたいといっても断るだろう。(でもギャラ次第かも。集客× で考えれば良いわけだから)
2月の公演では、特にカナダの新人ダンサーが注目だよ、とか言っていたので、あとで名前を見ておこうと思った。
タワーレコードには良い思いでがあって、NYに公演に行ったときタワーレコードに入ったらパリでは売っていないような作品がたくさんあっていっぱい買って帰ったとか。傍で聞いているとそういう時代もありましたなぁという感じではあるけど、本人はリップサービスというわけでなく何となくタワーレコードでトークショーというシチュエーションを楽しんでいるようには感じた。
当日買うとサインと握手をもらえたはずだが、子供は映画を観た時点で買ってしまったため、ちょっとしょんぼりしていた。まあ、握手というのは不思議なものだな。
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