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IDGのCIO Magazine 5月号の巻頭インタビューがおもしろい。
スルッとKANSAIの取締役インタビューだ。
以前、Felicaの利用について調べていたときに、なぜかPiTaPaは鉄道系で唯一ポストペイだというのを知ってうらやましく思ったからだ。でも、なぜPiTaPaだけがポストペイなのか理由はわからなかった。
その理由が語られていた。
それが、わらしべ長者のようなポジティブな連鎖の塊なのだ。
まず、カード式改札がある。出口でひっかかる人が出てくる。異なる鉄道会社で出ようとすればそれはそうなる。
もし、ここが関東なら、「しまったーおれはばかだー」となるだろう。
関西では違う。「おまえあほちゃうか? なぜおれが出られへん」となる(正確な引用ではないので、関西語として正しいかは知らない)。「おれは客やで、出られて当然やろ」となる。
結果、導入してない鉄道会社は連日のように文句を言われて、望むと望まぬとにかかわらず、カードの導入となる。このとき、もし異なる規格でも使おうものなら、また同じことだ。
というわけで、共通でやらなきゃまずいという危機意識から、スルッとKANSAIが生まれたわけです。
日本最初の共通方式ですね。
次の問題は、プリペイドの場合で、乗る時に残金が最低運賃以上という制約を設けた。
関東では、もし残高不足で入れなければ、しまったーおれはばかだー。もたもたしていると後ろの人に迷惑だ。ごめんなさい! となる。当然ですね。
でも関西では違う。機械がおかしい。おれは客やで。電車乗り遅れた、どうしてくれる。となる。払う金ならもってんのや、どやどや。
というわけで、乗る時の残金は無視しようと。
ところが、ここに法律が立ちはだかりました。
鉄道営業法で、正当な運賃を払ったものを移動させるとなっているからです。だから、最低運賃以上の残高というチェックがあるわけです。
—(インタビュアー)では、それをお客様に説明……
いや、ここは関西です。関東ではないのです。
そこでわれわれは払う意志があるかどうかを10円の残高で見分けるというように約款を定めました。法律には「別段ノ定アル場合ノ外」という例外規定があるからそれを利用しました。これも、ピタッとKANSAIで共通規格で運用できるようにしておいたおかげと言えるでしょう。
そしてPiTaPaです。
Suicaは関東のサービスなので、プリペイドは当たり前です。鉄道営業法上も正しい。
しかし、ここは関西です。
でも、上で約款を定めておきましたので、それがそのまま利用できて、ポストペイで運用できるというわけです。
いやー、関西に生まれて良かったですよ! 権利万歳。
ジェズイットを見習え |
この話よくわかるなー。妻が関西人なんで。
おもしろい!
実は関西育ちの私・・・。<br>府に落ちます(w。<br><br>ユーザー目線で物事を捉えれば、関東でもこうなる筈なんですよ。<br>いつの間にか関東っぽいのが日本の標準ですが、日本の最も駄目な部分の投影の一部だったりする気がします。<br>国民不在の政治、社員無視の経営と同じ気がする。<br>今回の震災で、陸路を絶たれ、多くの乳幼児が餓えている山間部の児童センターの存在を認識している自衛隊と政府。<br>しかし、欧米と違い、日本の法律では物資の投下は違法。<br>違法だからやらない/無駄な立法を変えない・・・お役所精神はSuicaと同じですわ。
切符買わなくて済む=ぎりぎりに乗れるのがメリット=前払い許したる=残金不足で通せんぼう有り得ない、という発想かまずなかったから驚いたんだけど、ロジカルだよね。で、個々の解決策に合理性があるから連続性が確保できるとか、これは本当におもしろかった。