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昨日というか一昨日のことだが、急に天ぷらを食いたくなって、4sqで天ぷらを調べると、近くに一軒だけ見つかった。コメントとして値段の割にはうまい、と書いてある。
値段のわりにはうまいのなら、まあいいかと探し始めるのだが、なかなか見つからない。
面倒になってあきらめて、ふと路地に入ったら、そこにあった。汚い店だけど、値段のわりにはうまいというくらいだからこんなものだろうと思って、入った。
カウンターがL字になっていて、数人客がいて、中でじいさんが天ぷらを揚げている。ばあさんが給仕みたいなことをやっている。
で、天ぷら定食950円としか書いてないので、それを頼む。
しばらく待っていると、扉のところに小学低学年くらいの子供がただいまぁとか言って入ってきて、すぐ出て行ったかと思うと、裏から回ってきて調理場の中を腹減ったとか言いながら走り回っている。おっかねぇなぁとか思っていたら、裏から母親らしい人が出てきて、何か食わせに連れ出した。
というような感じの店だ。
と、四角い盆にご飯としじみの味噌汁と漬物と大根おろしが入った天つゆ入れが出てきた。
で、目の前の白木のカウンターと、厨房の間に黒い石の台がぐるりになっているのだが、そこに白い紙が置かれた。で、ぽんぽんぽんというかどさっというか、エビの天ぷらが8尾くらい置かれた。
は?
という感じだ。で、天つゆが出てこないので、塩が置いてあるので、それを振って食うと、これがめちゃくちゃにうまい。
うまいというか熱いというか、ここまで揚げたてのてんぷらを食ったのはおそらく生まれて初めてだ。
とにかく数が多いので、さっさと食わなければ冷めてまずくなりそうな予感がするので次々と食っていくのだが、死ぬほど熱い。が、それがうまい。
しかし、熱いので天つゆ+大根おろしで食いたいので、どこにあるのか訊いたら、カウンターにぽんぽんと置かれているポットがお茶ではなくて天つゆだと教えられた。それは気付かなかった。
で、ポットから大根おろしが入った小鉢に天つゆを注いでエビ天を入れて食うと、これがおいしくない。おいしくないのは、天つゆがいい加減な味だからだ。というわけで、塩に戻すと、やはりうまい。というか熱い。でも大根おろしを食いたいのでいくつかは天つゆで食べるのだが、あまりおいしくはない。天ぷらそのものは熱いのでうまいのだが、天つゆがいまいちだなぁという感じ。
で、御飯を食うと、これがまずい。べちゃべちゃしている。漬物を載せて食うと、また漬物がいい加減な漬物で少しもおいしくない。
が、(まだえびは残っているのだが)天ぷらはまだ熱く、しかもうまい。いや、どうもそんなにおいしいというわけでもないようだ、と気付いてくる。ずば抜けた食材というわけではないし、衣がすばらしいわけでも、油が特に良いわけでもない。が、揚げたてのてんぷらというのはすさまじく美味しいのだな、これが。
で、エビ天をひたすら食い終わると、キスが3尾どかどかと置かれて、これがまた熱いがうまい。外はパリツとしていて中はちょっとくせがあるキスの味でほくほくしていて、これがうまい。塩で1つ。天つゆに1つ、やはり天つゆはうまくないが、大根おろしと組み合わせるのはそんなに悪くはないが、やはり、この食い方はだめだなぁと、また塩で食う。で、御飯を食べると、まずい。
で、その時点で満腹峠を越えているのだが、蓮根とカボチャとノリが出てきて、一体どうしろと状態だが、やはり揚げたてのてんぷらはうまい。つい、天つゆつけるとおいしくないのだが、それでもうまいし、塩だとすごくうまい(要するに、天つゆがおいしくないのだよ)。
うーむ、これは新鮮な経験だった。というか、天ぷらがこんなにうまいものだとは、とある種の感動さえあった。
食い終わって、すげぇうまい店を見つけたと思ったものの、落ち着いて考えると、飯も天つゆもお新香も味噌汁も、はっきりいっておいしくはない。天ぷらだってそんなにすごい良いものだとは思えない。が、揚げたてそのままが全然なんの猶予もなくどかどか食えるということに関して、ここまで圧倒的な存在は他には経験がない。
だいたい、天ぷらって結構、高級な食い物だから、カウンターがあるような店には数えるほどしか行ったことはないし、そういう店ではきれいに盛り付けられるし、食う方も、味わって食おうと身構える。そんなこんなで、今食ったようなばかみたいに熱い天ぷらは食ったことがない。
うまい天つゆがどばどばかかった天丼も食うことはある。外苑銀杏並木の脇の店とかえらくうまいなぁ。が、そういう店だと天丼になっている時点でそんなに熱い天ぷらではなくなっているし、やはりまずは~を食ってから、次はどうしたとか余分なことを考えながら食うから、やはり今食ったような食い方はしないし、できない。
そういったお御馳走な天ぷらではない、天ぷら、ひたすら揚げたてをすぐさま貪り食う天ぷら、ってのは初体験だ。で、それは圧倒的なUXがあった。
多分、天ぷらの原点ってのは、こういうもんだったんじゃないか、とかいろいろ想像しながら、それにしても、定食として考えるとまずかったような気がするが、天ぷらとしてはすさまじくうまかった、と微妙な感想を持ったのだった。
(で、翌日、ついもう一度行ったら、今度は時間が早かったせいか、やたらと混んでいて、ほー人気ある店ですなぁとか思った。で、昨日のご飯がまずかったのや、えびがやたらめったら出てきたのは店じまいに近い時間だったからだな、と想像してみた。
で、最初のえびが3尾(4尾かも)と半分で、おおやはり昨日は特別だったのだな、と思いながら御飯を食うと、それほどべちゃべちゃではないものの、やはりうまくないし、天つゆは、これはやっぱりまずい。味噌汁は結構まともで良い感じだ。昨日はなんかぼんやりした味だったような記憶があるのだが。
が、そういうもろもろ無関係に揚げたてのてんぷらはやはりすさまじくうまい。で、食い終わるころに、また3尾だか4尾だかが追加されて、うーむ、量はやはり多いのだ(今回は混んでいるから、揚げるのを2回に分割したのだなとわかった)。とか、いろいろ。
(御飯がまずいとか上では散々書いているが、天ぷら以外の部分は500円の定食程度の味という意味で、食い物とは言えないとかそういう話ではもちろんない。というか、残さず食っているわけだし。後、今頃気付いたが、上品ぶった天つゆの使い方をしているのが敗因かも知れない。天つゆはだぶだぶに器に入れてべしょべしょにつけて食えば良いのかも。というわけで、こんだはそうしてみよう)。
ジェズイットを見習え |
福岡きたら、「天ぷらひらお」行ってみてください。カウンターで天ぷらあげたてが出てきて、もちろんうまいし、ごはんも味噌汁もイカの塩辛もうまいです。定食670円!
それは、是非行きたいですね。イカの塩辛が付いてるってのも素敵。
ちはら、ひどいときは衣が本当にダメですが、下魚を使ったファーストフードとしての天ぷらが楽しめるよい店です。昼飯時の一瞬だけものすごく混むのですが、それも雰囲気のうちかもしれません。ああいう店、東京にはまだ他にもあるはずですが、職場や自宅のそばにないと本当には楽しめないかも。
>下魚を使ったファーストフードとしての天ぷら<br>そうそう、まさにそんな感じですね。近くにああいう店があるっていうのはなかなかに良いものです。