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何をおいてもフォークトが素晴らしくて、おお、現代のバイロイト歌手はこうなんですか、という説得力のきれいでよく通る声、確かにこの演出みたく天からこの声で歌を歌いながら白い服をきた男が舞い降りて来たら、神が遣わしたと信じてしまうだろうな(8世紀なら)。
開演時間がどの日も妙で、勤め人に来させないための陰謀かとか友人と話していたが、最後に子供を使う演出だからみたいだ(でも、子供の労働時刻制限ってまだあるのかな?)。というのがエクスキューズで、真意はどうだかわからんけど。
エルザのメルベートはかわいらしく、というか今回とてもよい席で観たのだが、3幕1場の演出が、仲睦まじい恋人同士の他愛のない痴話喧嘩みたいな演出で(やれやれこれだから、とか、どーしてそうなるの、とか、ちょっとまじめにきいてよ、とかを演技で示す)その微笑ましさが、一転、ローエングリンの開き直りに変わる作劇の奇怪さ。ただ、ついオルトルートの科白を使って「高慢ちきな」クズ扱いするヴァグナーのシナリオの説明っぷりはおもしろい。
他の歌手も悪くはないのだが、歌劇そのものがまだワグナーの作劇術が発展途上なので2幕の最初とか退屈きわまりなく、3幕だって実際に曲だけ聞いていればうんざりするほど退屈なのだが、とにかくフォークトが出て歌っていればそれだけで舞台が成り立ってしまうので、結局ローエングリンが出てこない2幕の最初(1幕の最初はそれなりにドラマがあり合唱が楽しいのでOK)以外は全編楽しみに楽しめた。あー楽しかった。
ワーグナー歌劇《ローエングリン》バーデン・バーデン祝祭劇場2006 [DVD](ケント・ナガノ)
(生フォークトのほうが良かった!)
(死の都も入っているし、これは買おう)
#それにしても、この数か月の新国立劇場の歌手の良さはびっくりだ。
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