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日々の破片

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2012-10-27

_ 文化的コンセンサスと教養

昨日、何が原因か忘れたけど(と書くと思い出すの法則で、佐賀のほうで取れた魚を食いながら、北九州と言えば花と竜(に至るまでおれが知らない演歌が出てきたり)して)、最終的に、相撲取りのなり損ないが泣きながら歩いていると、2階から紐を付けた徳利が目の前に降ろされてきて、上を見上げるときれいな芸者さんが窓からこちらを見ているという話になった。

確か一本どっこ土俵入りじゃないか? と言うようなことをおれが言って、それは北九州で暴れ者の無法松の話になったからだ。おれは無法松が最初相撲取りになろうとして、そのシーンがあったのだと思った。確か、ほかには、惚れたお嬢さんを人力車に乗せて泣きながら爆走するシーンとかもあったよな。

すると、妻は、それは違うと言い出した。無法松が関取ってことはないはずだ。

だから、とおれは言う。関取にはなれなかったんだろ。

変だなぁと妻は言いながらいろいろ検索して、相撲取りは中山道だし、だいたい徳利じゃなくて、金と簪だ、と言い出した。

あ、と俺は気づく。そりゃそうだ。徳利が降りてくるのは菊正宗か松竹梅の広告だった。

さらに妻が追い打ちをかける。一本どっこ土俵入りって、なんか変だと思ったら、一本刀土俵入りじゃん。

確かに、そうか。でも一本どっこってのもあったはずだけど、なんかごっちゃになっているなぁ。(この謎は、妻によって、北九州→博多の名産→長谷川伸のごった煮から湧き上がってきたのだろうと解析された)

そう言えば、江戸紫が降りてくるバージョンもあるな、マンガだし、あれは桃屋の広告か。で、相撲取りに扮した大村崑のアニメ版がおもむろに飯を食い始めるはずだ。

くだらねぇ、とそこでバカ話は終わるわけだが、ふと考える。

全国展開の酒造や佃煮屋が、なんの前振りもなしにテレビ広告の中で、相撲取りのなり損ないの前に2階から徳利やら佃煮やらを降ろしてきて、それで意味が成立するってのは、つまりそれがなんであるかのコンセンサスがあるからだ。

でも、と考える。少なくとも、現在にそれをやっても、ただ、そういうものだとしか思われないだろう。

国民(というよりも視聴者)の大半が受容可能なものって今だとなんだろう? そんなものは不要です。偉い人にはそれがわからんのです?

だが、とその反面考えるのは、大半が受容できるよりも、狭いターゲットにピンポイントで受容させられるほうが、むしろ広告効果は高いのではないだろうか。

いや、それはテレビ広告というメディアには向かないだろう。

劇画・長谷川 伸シリーズ 一本刀土俵入 (イブニングKC)(小林 まこと)

(こういうリメイクをしても意味ないだろう)

一方そういった教養(というのはコンテキストの共有だ)についての考えとは別に、コモンズというものを年配者に説明するのに、長谷川伸と長谷川一夫というのはばっちりかも知れないとか思うのだった。

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_ ムムリク (2012-10-27 19:41)

いっぽんどっこ、と言えば水前寺清子の歌という刷り込みもあるかもしれませぬ。


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