著作一覧 |
子供が多分、NHKの新春オペラでランスへの旅の多重唱を見て気に入ったのか、オリー伯爵が観たいと言い出し、おれもちょっと興味を惹かれたので購入したDVDを観た。
Rossini : Le Comte Ory [DVD] [Import](Didonato)
ロッシーニ版ドンジョヴァンニということなのだが、ジャケットの修道女に変装したフローレスがあまりに奇妙だし、共演がディドナートやダムラウと、無駄に豪華だし、さてどんなオペラなのか。
観てびっくりだ。くだらねぇぇぇ。こんなくだらねぇ作品にフローレス、ダムラウ、ディドナートって、どれだけメトは贅沢なんだ。
ロッシーニっぽい、どうでも良い歌詞を無駄に軽快な曲想にのせてえんえんと繰り返すし、それをまたフローレスが驚くほど美声で歌うし、特にコロラットゥーラが必要でもないのにダムラウがなんというか落ち着きがある高声で歌うし、しかも脚本のばかばかしさはあきれ返る。
オリー伯爵と25人の騎士が、主が十字軍遠征で不在なため男性立ち入り禁止となった城の女伯爵目当てで修道女に変装して乗り込む。
侍女の大将が見回りにくると、みんなで神妙な顔をしてお祈りしているのが、いなくなるやいなや酒蔵から盗み出したワインを開けてドンチャン騒ぎ、そこへ侍女の大将がやって来るのであわてて神妙な顔つきでお祈り、いなくなるとワインを開けてドンチャン騒ぎ。をえんえんと繰り返す。
子供が、こいつら修学旅行気分だろ、と指摘する。
ふむ、オリー伯爵のページがディドナートでメゾということは声変わり前なので11歳。すると、オリー伯爵は17歳くらいで、騎士団は基本同年輩なので、やはり17歳。
そりゃ、修学旅行になるよな。
で、下品に堕さない見事な演出で、ベッドの上でのオリー伯爵と女伯爵とページの3Pが繰り広げられる。しかもそんな異様な状況でフローレスとダムラウとディドナートが美しい歌を歌いまくるわけで、これほど贅沢な演目はそうはない。
いやー良かった。
ジェズイットを見習え |