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寒いから(何しろ雪まで降る始末)江戸東京博物館の大浮世絵展へ行った。
いろいろ用が重なって、着いたのが14:30頃だったが、昼飯を食っていなかったので、7Fの和風レストランへ行く。好きな席へ行けと言われて(空いていた)、窓際の席へついたが、何しろ外はほぼ雪なのでガラスが曇りまくっていて外が良く見えない。国技館の屋根らしきものが認識できる。天気が良ければなかなかの眺めだろうに残念だ。ついでに味も残念だった(観光地のレストランと考えればこんなものだとは思うが、知っていたら丼ものにしておいただろうな。それはそれとして鰤はおいしい)。
入って最初に、自分がいかに浮世絵を知らなかったかを知った。菱川師宣あたりを祖とするものなのか。で、切手の単色濃淡のみで知っていた見返り美人が鮮やかっぽくて(この後も鮮やかではなく、鮮やかっぽい画がさんざんでてきたが、これらは経年劣化したものなのか、最初からそういう色なのかがさっぱりわからない。明治の芳年の犬塚信乃と犬飼現八は実に色鮮やかで、おそらく他のも最初は同じような色遣いだったのではないかなぁとは思うがわからないものはわからない)、ああそうなのかと見方が変わった。水墨画じゃないんだよな。
それから、春信があって、黒白二人連れを観て、ああこりゃすごいと思ったら、実に有名な作品なようで、またまた不明を知る。
で名前を忘れたが、順路上で入口をSの左下とした場合に、ちょうど右上に当たる壁にかけてあった画に惹かれる(Sよりは複雑だったような気がする)。モダンだ。これまた名前忘れたが、進行方向縦の右側の壁に3枚、顔の造形が三角錐の組み合わせで脱平面化したような書き方をしている(とは言っても浮世絵なので、別に線が入っているわけではない)不思議な画家がいたが印象的だった(が、忘れている)。
だんだん吉原風俗画が出てきて、浮世絵が大衆化しきってブームになりまくったことがわかる。遊女と客が恵比寿と大黒に仮装した画がおもしろい。
で、見ているうちに、歌麿が出てきて、なんか急に艶っぽい。なるほど世界の歌麿であるなと感心するが、とは言えしょせんは浮世絵の平面なので、何がどう艶っぽいのかと言うと、どうも唇が違う。それまでは、唇に紅(よりは薄いが、これも経年劣化かも)をひいていなかったのかな? と順路を逆に過去へさかのぼってみると、別に必ずしもそうではない。が、やはり歌麿に戻ると唇が特に艶っぽい。不思議だ。
で、写楽が出てくる。すると、210の説明に、196,197と同じ役者だがどうも精彩に欠けるとか書いてある。が、196,197なんて見ていないぞ? とまた過去へさかのぼって、どうやら目録の作品すべては展示されていないと知る。ちょっとがっかりだというか、比較できないものを比較した解説って役に立たないじゃん。
まあ迫力ある大首絵の次は全身が入った2人の画が出てきてまったく感心しない。ああ、それで写楽が何人もいたとかいろいろ説が飛び交ったのかと納得する。おそらく素人の迫力が数をこなすうちに技術力がついて、逆に二流の人に逆になってしまうという悲しい人だったのかも知れない。
で、広重。箱根の山が鮮やかではない(永谷園のお茶漬けだかのパッケージのおまけで見たことあるのと違う)。のあたりで、経年劣化で彩度が落ちているのかなぁとか思い始めたのであった。
が、月に雁に驚く。見返り美人よりも驚いた。すごく美しい。特に下方の青の美しさったらない。こんな美しいものが、切手になると枯淡の境地の構図だけの画になってしまっていたのか。
広重の直前のような、広重のような覚えていないが、着物の柄がでこぼこで色なく、はてこれはなんだろうと気になったが、後のほうの解説で、それを空摺りと呼ぶと知った。こういうのって、画家が指定するのか、それとも摺屋さん(というのかな?)が勝手にするのかどうなんだろうか。というか、画家の能力だけで決まるわけではないという点から、アニメみたいだなぁと思った(原画がどれだけ良くても、作画監督がだめだとアニメとしてはいまいちとかあるんじゃなかったけな)。
雪が降らない地方に53次に変化をつけるために雪景色にしたのだろうとかいう解説の次が、また雪景色で、この解説を書いているやつはいまひとつあてにならんなとか思いながら、先へ進む。
で、いきなり洋画のような北斎が出てきてこれまた驚いた。全然違うものが出て来た。(そういえば、そこより壁2つ分後ろに、実にきちんとした一点透視法で吉原の大門を描いたものを見て、浮世絵って実にしっかりとした遠近法で書かれている(良く良く室内風景を考えてみればそりゃそうだが、広重や北斎のようなデフォルメされた風景や、写楽の大首の印象が強いので遠近法は無視しているような印象があった))だなと知ったってのもあった。
で、遠くに富士山、近くに岩の上の漁師と釣り糸の2つの三角で、ああ、ゲームのルールをこいつが変えたのだなとつくづく感心する。
で、英泉。おれにとっては日本のクラナッハなのだが、ここに展示されているもの3枚を観てもそれほど感慨はない(ということもない)。でも青いのはほーと思った。そういえば月に雁も青が実に美しかったわけだが、当時は青がはやったのかな(青色LEDがはやったような感じかな)。
で国芳。化け猫のお約束は菰をかむった2匹の猫踊りとあるので、家の猫にも菰を買ってやろうと思いながら、かつをの解説に「猫好きの国芳がやってくれました」とか書いてあるので、一体この解説者はなにものかとますます謎は深まる。
明治になり、色が鮮やかになる(明治前でも黒船一覧みたいなのは色鮮やか)。女性の顔で妙に印象的なのがあったと思うけど、この時期は芳年の印象が強い。
とにかく、そういう調子で浮世絵の歴史を一望すると、構図の美しさが重要というか、構図が何より重要で、そして北斎はあまりに圧倒的で、残りの中では歌麿がまるでゴヤのように唐突にそびえたっている、というのが一言としての感想。でも広重や国芳がいたほうが良いのは間違いない。
天気も良くないし、平日だし、館内はそれなりに空いていて、見やすい雰囲気だった。
見終ると、ちょうど閉館時刻だったので、普通に眺めて2時間強くらい。
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> で、写楽が出てくる。すると、210の説明に、196,197と同じ役者だがどうも精彩に欠けるとか書いてある。が、196,197なんて見ていないぞ? とまた過去へさかのぼって、どうやら目録の作品すべては展示されていないと知る。ちょっとがっかりだというか、比較できないものを比較した解説って役に立たないじゃん。<br><br>展示対象が大量にあるため、定期的に入れ替えを行なっているためではないかと。
どうもそうみたいですね。全部見るには何度か脚を運ぶ必要がありそうだけど、ちょっと無理ですねえ。