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なんじゃこりゃと妻が叫ぶ。
どれどれと見に行くと、なぜか手にシックの5枚刃を持っている。
「楽天が試供品を送ってきたから喜んで開けたら、これが入ってたんだけど、男物よね」
と渡す。
どう見てもそれはそうだ。
「でも、おれたちが知らないだけで、実は女性の腋毛剃りとかに、シックの5枚刃が大人気とか?」
「ないない」
というわけで、シックを前に考え込むおれたち。
「お前、マーケティングに非協力な人だから、男名前で登録してあるとか?」
「そんなことしたらクレジット使えないでしょ」
「ああそうか……」
というわけで、さらに考え込むおれたち。
「無い無いって言ったけど、やはり女性に大人気とか?」
「こんなごついのを?」
「うーん、女性が剃りまくっているところは見たことないからおれにはわからんけど、なまくら女性用よりも顔に優しいとか、あるいは実はお前以外は全員ブラジル化しているとか」
「とにかくあげるから使え」
「えー」
おれはナイルロジャーズが大嫌いなので当然のようにジレッ人だ。いやなこった。
ということは
「髭剃りみたいな生活密着毎日習慣的使用物は、他への乗り換えはほとんど起きないはずだから、そこで夫帯者、つまり既婚女性へ送りつけているという可能性はないかな?」
「そのこころは」
「女性は統計的に吝嗇と言われている。男にいきなり送りつけたら、このナイルめがとそのまま捨てられてしまうのは目に見えている(相手が貝やジレットやウィルキンソンの場合)。つまり乗り換えさせるという使命を果たせない。もともとシックな人で旧型を使っている人なら、試せば、間違いなく剃り味は良いはずなのでグレードアップするかも知れないけど。しかし女性に贈れば話は違う」
「どう違う?」
「今、お前はおれに寄越したじゃないか」
「なるほど。しかしそんな胡乱なことすっかな?」
「楽天の社員用に間違えて大量に仕入れて余ったとかだろうなぁ」
「でも、無差別に送っていたらどう? 独身女性とか」
「気兼ねなく、試してみるかも。ラブラブシェーバーより間違いなく良く剃れるだろうから、新規市場開拓できてラッキーってならないかな」
「こんなごっついの使う気にはなれないと思うけどなぁというかわたしはやなこった。っていうか剃り味は良いはずとか言ってるんだから使えば良いじゃん」
「間違いなく競争しているから良いものを作って生き残っているのはわかっているけど、おれは生まれついてのジレット好きなんだよ。首振り戦争乗り換え組みたいなぽっと出と一緒にされては困る。シックなんてシックオフだ」
というわけで、謎は深まるばかり。
それにしても、今初めて剃刀をアマゾンで検索してみたが、店へ買いに行くのがばかばかしくなるほど安くて驚いた。店(安売り店)で買うと8枚+1が安くても2000円越えだから、同じような額で余分に4カセットがついて来る勘定だ(定期便というのがさらに安いがこれは定期便(忘れてしまう)というのがミソなのだろうな)。
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