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確か高校生(もしかすると中学生のときかも知れないが、3枚組というボリューム(というか価格)からちょっと考えにくい)の頃、カリオペレーベルが日本ビクターあたりと契約して日本盤(LPだ)が出るようになった。
で、当時のことだからラヴェルといえばボレロくらいしか知らなくて、でも生まれついてのおフランス好きがあるから、カタログにジャックルヴィエという人のラヴェルのピアノ全集があったので購入した。
それが見事に白い箱に入った美しいレコードでなるほどこれはカリオペ(オルフェの母親だ)ですなぁと嬉しかった。
ピアニストは初耳だし、他の演奏はおそらくパヴァーヌくらいしか聴いたことはないから比較はできないのだが、粒が揃った美しい演奏(たとえばソナティーヌの冒頭の部分は大好きなのだが、タララランと入る装飾が実に美しい)と、真っ白なジャケットのイメージの相乗効果で、硬質な美しいラヴェル演奏という自分の中の音のイメージの基準となった。
特に気に入ったのはアラマニエールの2作品(特にシャブリエ)で余りに気に入ったものでシャブリエ本人の作品を聴いたらがっかりしたのを覚えているがどんな曲かは全く覚えていない(それから随分してから、フォーレが書いたバイロイト流儀のピアノ曲を聴いて、もしかして、バッハのイタリア協奏曲のように勉強させてもらいましたという作品ではなく、こいつはばかですなぁ作品なのかな? )。それからなんと言ってもソナティーヌであまりに気に入ったのでレコード盤が擦り減らないようにほとんど聴かなかった。ばかだなぁ。そういえばクープランに捧げる4曲目も好きだった。高貴で感傷的なヴァルスも好きだな。
で、どえらく時がたって、いろいろラヴェルを聴く機会があるのだが、ルヴィエという名前を忘れてしまって、唯一覚えているのは真っ白なレコードの箱だけとなったが、あの頃聴いたシャブリエ流儀やソナティーヌを死ぬ前にもう一度聴きたいという思いは年々強くなるばかりだ。いよいよ老境に差し掛かったということだな。
で、同じ頃のピアニズムのハースの全集とか聞いて我慢していたわけだが(フィリップスの録音とカリオペの録音はなにか近いものがあるように感じる)、先日、ついに見つけ出した。
しかもMP3で1800円だ。
Ravel: L'œuvre pour piano(Théodore Paraskivesco, Jacques Rouvier)
というわけでほとんど最近はラヴェルを聴いているのだが、何億回聴いても擦り減らないというのはすばらしい。
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