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新国立劇場で2回目になるサロメ。
歌手が抜群に良かった。サロメはニールントという人。7つのベールの踊りで最後ビキニ姿になるところは腹回りがちょっとたるたるで、そこまで要求しないでもとか思わなくも無かったが(ちょっと衝撃的だった)、歌手として実に良く、ヘロデはフランツで確かジークフリートやパルジファルの人でこれまた堂々たるもの。ヘロディアスがイェヌーファでおばあさんを歌ったシュヴァルツで説得力があるし、ヨハナーンのグリムスレイは凄惨な感じが良く(この人がさすらい人=ヴォータンを歌うらしいから実に楽しみ)、突然死んでしまうわけがわからない説明係のナラボートの望月もいつものようにうまいものだ。
指揮のエッティンガーと東京交響楽団はおおシュトラウスですなという感じでこれまた実に良く、特に死刑執行人が穴倉に潜ったあとの低音でシューンシューン言わせるところや、頻出する金管の金切り声とか聴いていて楽しい。
音のバランスが良いのは舞台設計のうまさなのか、つまるところ、まったく素晴らしいものだった。
それにしてもヨカナーンのセリフはいちいちイエスのことを喋るのだが、それがすべて意味が不明な気持ちの悪さになっていて、預言者とはこういうものかと思わざるを得ず、ふと禰衡と黄祖の物語としても成立しそうだなとか考えたりした。
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