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残り半分で面倒くさくなって置きっぱなしにしていたアルゴールの城を読了。
筋はいくつにも考えられる。
アルゴールの城を手に入れたアルベールの元に親友エルミニアンが美しい女性ハイデ(アイデ?)を連れて訪れる。
昼、ハイデはあるときはアルベールと、あるときはエルミニアンと深い森の中へ消える。夜は3人で談話をする。古今東西の知識と深い考察を持つ3人の衒学談は印象のみが語られる。
ハイデは森の奥の泉で死んでいる。次の章ではエルミニアンは失踪し二人の静謐な暮らしが訪れる。エルミニアンは落馬して瀕死の状態で見つかる。
エルミニアンは回復し調査結果をもとにアルベールと城の中の抜け穴を探検し、それがハイデの部屋へ通じていることを見つける。
ハイデは毒を飲んで死に、エルミニアンは城を立ち去り、刺し殺される。
エルミニアンは何をしに城へ来たのか、そもそもハイデは生きて存在しているのか(エルミニアンとハイデが来る前にアルベールは墓へハイデという名前を刻む)、何か死にまつわる何かがあったことは明らかなのだが、それはアルゴールの城そのものの記憶のようでもある。
淡々とまったく意味を持たない描写のみが、しかし饒舌過ぎるくらいに入ることと、動きのなさからロブグリエとデュラスとアランレネの共作が想起される。
去年マリエンバートで [Blu-ray](デルフィーヌ・セイリグ)
ドラマはあるのだが、それは直接は語られない(マリエンバードではバルコニーの欄干が崩落するところは描かれていた)ので、何が起きたかあるいは何も起きていないのかは想像するしかない。
これは全くパルジファルではないということはわかった。
たしかにハイデの寝台の脇には聖杯の画がかかっている。しかし、ここでは誰も救済のために血を流すものはいない。むしろトリスタンとイゾルデとマルケ王だ。しかも第3幕で、トリスタンはすでに城へ帰還している。
テクストの快楽という観点からは実に秀れた作品だが、物語の悦楽はまったくなく、このタイプの作品の読み方を思い出すまでに時間がかかった。
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