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いつの間にかスノーデンのドキュメンタリー(87回アカデミー賞受賞という輝かしいのがくっついているけど、客の入りは90人のイメージフォーラムで1/3程度)を観にイメージフォーラム。
やたらときれいな風景を挟むスタイリッシュな作風なのは知らなかった(ローラポイトラスの作品はこれが初見)。イラクやグァンタナモのドキュメンタリーを制作したために、危険人物として常に監視下にあり出入国のたびに厄介な思いをしているローラのもとにPGPで暗号化されたメールが届く。送り主はシチズンフォー。
ガーディアン(そういえば今回のEU離脱で残留派が読む雑誌NO1だったな)の記者と香港のホテルで会い、撮影を始める。スノーデンはそれなりに良い男で、寝癖を気にしたりする程度には身なりにも気をつかう。アドミニストレータなので職務的にすべての情報にアクセスする権限を持つ。いつでも見られるドローンの撮影風景(攻撃を含む)を見ていて告発を決めたのだった。
AT&T、ベリゾンはNSAに協力をする。マイクロソフト、グーグル、ユーチューブ、フェイスブックなどなど9社が協力しているだか、監視対象としているだかと語られる。
途中でニューヨークでメタデータの意味を活動家に説明するハッカー。言葉はデビットとパスなんとかだが、字幕上はクレジットと地下鉄のパスというような言い方に変えているが、日本だとクレジット付きSUICAと考えれば良い。
SUICAのデータもクレジット番号もそれだけでは単なる標識に過ぎないが、2つが結合すれば、ある時点でどの駅を降り/乗り、どこの店で何を買い、食ったかが明らかになる。どこのISPと契約しているのかもクレジット番号からわかる。そういった情報の蓄積からプロフィールが作られる。芋づる式に同日同刻同位置に出てくるクレジット番号やSUICAの番号から仲間を知ることができ、そこからさらに別の個人を手繰り寄せていくことができる。
米国政府は、1920年だかに作ったスパイに関係する法律を適用して逮捕しようとする。権力の濫用などに対する内部告発者としてではなく、問答無用に逮捕と資料の廃棄を強制できるスパイとして扱う(最終的にその嫌疑が解消されるとしても、その過程ではなんでもできる)ことにしたのだ。法廷闘争は不可能ということになる。
香港の人権派弁護士たちの力を借りて最初は香港の国連、その後は協力者に匿われてモスクワへ行くが、そこでパスポートを失効させられたために宙ぶらりんの状態となるが、結局ロシアに亡命を認められて恋人を呼び寄せて暮らし始める。この恋人(おそらく家族も)は香港での取材中に電話でやり取りをするのだが、監視対象となっていた。
ガーディアンが受け取った資料の幾つかは廃棄させられる。
NSAの監視網の帯域(だと思うのだが)を記した世界地図が出てくる。この太い線がブラジルから伸びている。と、ブラジルの弁護士(かな、記憶があいまい)が画面に示す。見ると、日本は線の中に埋もれている。米軍基地があるというのはそういうことなのだな(HUBも良いところだ)。
プライバシーとは自由のことだ。嗜好も行動も自分だけが管理している状態と、それらがすべてあからさまになった状態は異なる。何が異なるかというと自由だ、とNSAを訴えた人が法廷で弁護士が語る。NSA側の弁護士は司法省の役人で、これは司法が出る幕ではない。と強固に主張する。司法の出る幕ではないとは何事かと、モニターを通して参加している判事が激怒する。
・日本の法廷では考えられないことだった。まず映画の撮影のためのカメラが入っている。判事のうち1人はテレビカンファレンスシステムを通じて参加している。
が、ブラジル人と違って日本で何か大きな動きがあったという記憶はない。
新たな協力者があらわれたらしきところで終わる。
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