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車を運転していたら、ボヨーンと低音が流れ始め、サイケデリックファーズのインディアかな? と思っていたら強力なベースがボボボと始まった。
おお、何十年ぶりかのニューキッズインザシティだ。
で、聞き惚れてしまった。さすがに古臭く聞こえる(かってはすごいスピードに聞こえたが、むしろスローにすら聞こえる)が、しかし相変わらずかっこいい。
子供たちは陽だまりで遊んでいて、来るべき時を待っている。新しいモラルが作られ、新しい世界がはじまる。ハロー
で、思い出した。高校生の頃だ。
古文のすでに老境に入っている(髪の毛は真っ白)な教師は、なぜか教室の生徒に、過去の印象深かった生徒のことを言う(学校の性格もあって、高校と大学はごっちゃになっている)。
伊藤くんは、よく、寺山修司に似ているなぁと言われていた。
基本的には、誰もが知っている有名人なので、こちらは、ほー、その人も先輩なのかと受け流す。
そんな中で、誰もわからない謎の人物がいた。
「それにしても、彼はどうなったのかなぁ? 君たち知っている? 芸能のほうに進んだはずだが」
俺達が知っている芸能人になった先輩というのは、井上なにがしだけで、その名を誰かが上げると、首を振る。
「いや、違う。誰も知らんのか?」
これだけでわかるわけがない。
「美少年でな」
(どう転んでもその道の趣味はなさそうなので、形容としての掛け値なしの美少年なのだろう)
「そうか。」
少なくとも先生が触れる世界では見かけないということしかわからず、しかしどことなく寂しそうなのですごく目をかけていたようだということとだけは通じた。
しかし知らないものは知らないので、そこまでだ。
しかし、年間の授業を通じて、5〜6回は彼についてふれていたのではなかろうか。
さて、それから幾星霜、なにかを読んでいて(忘れた)、リザードのモモヨは高校時代に劇団の女優と駆け落ちして京都のほうへ行き、そのまま高校を中退したという記述を見た。で、高校の名前が。
あ、古文の教師があれだけ目をかけていた美少年の(おそらく授業的にも印象的な)生徒というのは、モモヨだ。間違いない。そうか、モモヨはおれの先輩だったのか(いや、だからどうっということはないわけだが)。
多分、とっくに亡くなってしまっただろうが、古文の教師には教えてやりたかったな。
(なんか新作が出ているので買いそうな予感)
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