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2016年3月に買ったまま忘れていた(その間にKindlePWを買いなおしたからだな)エンジェルメイカーをなんだこれは? と読み進めるうちに読了。大いに物語を堪能しまくった。
時代は2008年くらい、舞台はロンドン。ギャング(文字通り)の親父、実直な機械修理師(ネジとゼンマイと歯車でできたカラクリ仕掛けの骨とう品を直す)の祖父を持つ主人公は30半ばの機械修理師で平凡であろうと心がけて実直に生きている。
が、妙なものの修理を依頼されたことが原因で、政府や謎の組織や謎の個人からつけ狙われて、親友を惨殺されて、逃げ回る。唯一の味方は親父が用意しておいてくれた幼馴染の弁護士と謎の女傑の兄妹だ。
という物語と、主人公にからんでくる謎の90代の婆さんの若き頃(1939年頃)の世界を股にかけた悪の組織の親分との闘いの物語が交互に進む。この婆さんの(腰が痛いの関節がきしむだのの文句が多い現代の闘争する逃走劇もおもしろいが)若かりし頃の大冒険が抜群におもしろい。
2つの物語をつなぐのが、主人公の祖母であり、婆さんの恋人である、流浪の民の天才科学者の発明品(精巧な機械仕掛けなので当然製作は主人公の祖父)となり、唐突にヴィシー政権下のフランス国民に対する告発が入ったり、ロンドンの地下水道に住む謎の潜水民が登場したり、にぎやかだ。
なかなか読み終わらない(それはむしろ良いことなのだが)と思ったら、実際の本だと540ページほどあるのだから、大長編であった。
舞台が現代だからハヤカワミステリに分類されてしまったのだろうが、これはギア(またはスプリング)パンク(文字通りなスチームでパンキーな道具立ても疾走しまくる)とでも言うべきジャンルのSF(スチームオペラ?)だった。
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