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友人に誘われて、六本木のTOHOシネマズで犬ヶ島。
チケットを予約しようとしたら人形アニメで驚いた。なんで、こんなのを誘ったのか?
が、始まるや度肝を抜かれる。
3人組の太鼓もものすごいが、すべてが普通じゃない。
20年後の日本が舞台だが、はるか昔に犬を守るために少年武士に首を斬られた小林家の子孫が犬を抹殺しようとしている。
日本人は日本語で話し、犬は英語で話す。が、主人公の小林アタリの日本語がおかしい(と思ったらカナダ人で、多分、日本語を話すのはこの映画が最初ではなかろうか)。
あらゆるイメージがすべて歪んでいる。
真っ黒な野良犬(チーフ)が常に反抗的な態度。アタリと犬が行軍を開始すると7人の侍。チーフって菊千代か?
が、仕掛けがたくさん。なんだこれ?
オノヨーコがパートナーを暗殺された悲しさで酒に溺れている。
唐突に滑り台をしようとするアタリ。
すべてがピタゴラマシンのようであり、左から右への横スクロールゲームのようであり、おもしろい。
無茶苦茶だがちゃんと筋が通っていて、すべてのシーンが目を離させない。次に何が起きるか予測させても裏切る。
説明をするときは説明し、そうでなければ唐突に進める。
この作家はまともじゃない。なんというか、ティムバートンをさらに尖らせて本物の映画作家にしたような圧倒的な才能だ。あるいはデプレシャンの時代感覚を狂わせてさらに先鋭化したような才能、カラックスから俗に走っている部分をフィルタリングしてから目隠ししてぐるぐる回してふらついている状態で撮らせたような作風とも思える。
つまり、この30年くらい観た作家の中で最も才能がある作家だ。驚いた。
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