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2017/11/27という微妙な時期に購入したまま放置していたアンディパートリッジの創作遊戯を読了。
おもしろかった。
リアルタイムにはそれほどXTCの良き聞き手ではないどころか、XTCだとコリンムールディングの曲(頑張れナイジェルとか)以外にはまったく興味を持てなくて、アンディパートリッジのプールにダミーが浮かびまくっているソロとか買って1回聞いただけでディスクユニオンに売り飛ばしていたくらいなのだが、tnozakiさんにブックスアーバーニングを教えてもらってから相当変わったというよりも、エレキギターという楽器の音についての聴き方がわかってきたのだろう。最近はそれほど興味がなくもない。
それでも音よりも言葉のほうがおもしろい。
本書は、アンディパートリッジに対してワシントンDCのミュージシャン/ジャーナリスト(クリッシーハインドもそうだが、ジャーナリスト兼業ミュージシャンってそれなりにいるのか、特殊業界なので餅は餅屋にしかわからないところがあるのか、っていうかプログラマー/テクニカルドキュメントライターと同じ道理か)のトッドバーンハートという人が電話インタビューで自作曲を語らせたものをまとめたものだ。
抜群におもしろい。
おもしろいのは3つの理由があるからに思う。
まずアンディパートリッジっという人間がユーモアとセンスがあるから言葉がおもしろく(ってことは訳業も良いのだ。太田晋という人)、受け手のトッドバーンハートが同調的だからだ。
次に、優れた時代史となっているからだ。
そして創作の秘密や裏側は常におもしろいからだ。
それにしても、どの曲のどのコードをどういじってこうしてこうやったらこうなって、それをプロデューサーのトッドが勘違いして調性を間違えたところにもってどうしたこうしたみたいな話がつまらないわけがない。
XTC コンプリケイテッド・ゲーム アンディ・パートリッジの創作遊戯(アンディ・パートリッジ)
まったく当時は知らなかったが(ホワイトミュージックの構図をそのままスランにあてはめた表紙画があるからまったく気づかないわけでもない)、森脇真末味の緑茶夢の後半のエピソードはまさにXTCがモデルになっていたのだなと、セカンド作成時のキーボード奏者との主導権争いの箇所を読んでいて懐かしく思った。
(サイケ時代の(ドアーズやシドバレット時代のピンクフロイドあたりに着想したらしき)水野英子のファイアーといい、自分たちをモデルにした同時代的な優れたバンドマンガが東の果てで作られていることを彼らは知っているんだろうか)
インタビューの中でおもしろタウン出身と散々語られているスィンドン(距離から日野/八王子とか、川口/大宮みたいなもんか?)についてのジョンモリッシュという人の散策文学っぽい前置きも抜群におもしろかった。
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