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続猿の惑星のつるっぱげの人類が立てこもる地下都市のような、見たことないけどバイロイトのオーケストラピットのような、半地下で繰り広げられる異界からの救世主による人類の救済の物語。
設定は似ているが、新国立劇場の演出の最後が絶望で終わるのに対して、弟がそれなりの年齢に達していることもあり、それほど絶望感はなく、むしろ邪魔な異星人に恩を売られまくるよりはさっさと退場してくれたほうがありがたい感(ただし当然エルザは違う)があって、爽やかな終結と言えなくはない。
イタリアオペラを得意とするローエングリンというのは、以前プラシドドミンゴのがいまいちだなぁと思ったが、ベチャワでもなんか違う感がある。というよりも、フォークトを知ってしまうと、ローエングリンのCVは常にフォークトになってしまっているからかも知れない。
どうあっても名前を覚えられないヤニック・ネゼ=セガンのくにゃくにゃした指揮は抜群だった。3幕の序曲が実に楽しみで、しかもとても良かった。
2幕は通常退屈しまくるのだが、ヤニック・ネゼ=セガンの指揮っぷりもあって楽しめた。
あまりに良かったので2回目。千秋楽なのが残念だ。
トロシャンやフロンターリも素晴らしいが、やはり指揮(とオーケストラ)が抜群に良い。アディーオのいきなりな速度。
開幕前にフルートが嵐のあたりの練習をやたらとしているなぁと思ったが(確かに、あの場で外すと困ったことになるが)、その場になるとおそろしい緊迫感がある。
しかし、なぜフルートなんだろう? 小鳥が夜中に鳴くわけはなく、風の吹き始めのピューピューを出したかったのか。むしろ悪魔が来りて笛を吹くかも知れない。
金田一耕助ファイル4 悪魔が来りて笛を吹く (角川文庫)(横溝 正史)
リゴレットとジルダの二重唱でトランペットソロが入る(特に最後の部分が印象的)ことに今回初めて気づいた(聴いてはいたが意識に昇るという意味で)。指揮者の音色処理の絶妙さだ。
同じ意味でコントラバスのピッチカートも目立って、リゴレットは良く知っている曲だと考えていただけに新鮮極まりない。
と、その3つの楽器がやたらと気になったが、カーテンコールで指揮者(ベニーニ)がわざわざ、フルート、コントラバス、トランペットを順に称えたので、なるほど指揮者の意図通りに演奏してみせたのか、と感じ入った。(指揮者がオーケストラ全体でなく、個々のソロパートを称えるのを見るのは初めてだと思う)。
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