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ジェラール・プレギュルヴィクのジュリエットの死を聴いていると、どうもロメ(ウーアクソングラーヴ)と発音しているように聴こえるのだが、子供はウーアクソンテーギュ(だとロミに近くなる)だと言う。向こうのほうが耳が良いのでそうなのかなぁと思っていたが、幕を見たらグラーヴだった。というのがまず劇場(新国立劇場の中劇場)についての第一印象なのだが、でも今になってみるとアクセンテーギュなのでどうも妙な見え方をしていたようだ)、やはりこの舞台は傑作中の傑作だと思う(舞台を観るのは2回目だ。最初は赤坂ACTだった)。
曲も良いのだが(グノーやプロコフィエフよりも好きだ)、イケメンとイケメン女子がいっぱい出てきて踊ったり歌ったり喧嘩したり死んだりと観ていて楽しい。特に今回はベンヴォーリオのルックス(というよりも髪型だな)が最高。というか、ロメオ、マーキューシオ、ベンヴォーリオの3イケメン(ロメオは二人に比べて地味目にしてあるのもおもしろい)が出て来るだけで楽しいのだった。
冒頭の戦闘機の映像から、舞台は近未来(核戦争後で文明が数百年分退行した未来、でもスマホはある)としてあるので、おしゃれな不良グループの抗争ものを背景としても違和感がない。
というわけで群衆シーンで歌われるles roisがどうしたという曲(ベンヴォーリオかマーキューシオだかが、ロメオのことを王様と呼ぶと、ロメオがおれたちみんなで王様達だぜと答えて歌となる)のシーンと、街でみんなが言ってるぜの曲のシーンが抜群なのだが(どちらもモンターギュ側だ)、冒頭の赤いキュピレットと青いモンターギュのバトルシーンも好きだ。
唐突に挟まるオリジナルの台詞(特に朝のシーンで顕著だが、わざわざ単語もそのまま使うので無茶苦茶に異化効果があっておもしろさが3倍増くらいする)も良いし、曲はジュリエットの死が最高なのだが今回の舞台のジュリエットは小柄なので14歳(ただし劇中ではおそらく日本の法律にあわせて16歳としている)の美少女役にぴったりのうえ、目覚めて気分爽快、おやロメオがいる、嬉しい、あれ死んでいるの? 何が起きたの? 私も死ぬわの流れ(たった数分間のうちに希望から絶望、ある種の希望ところころ感情が変化する)を実にうまく演じて(歌って)いて見事だった。
Romeo and Juliette (En Live)(-)
この物語を悲劇にしないためにはどうすれば良いか? を考えると、キーはロレンツォの視野狭窄にあるのは間違いない(そのため、というわけではないだろうが化学オタクみたいな設定にしてある)。もし、ロレンツォが宗教者としての政治力があれば、結婚式に大公(パワーバランスは明らかに両家を圧倒している)の列席を求めるだろうし、それが個人的には無理であればロメオとジュリエット二人に大公の列席を求めさせるといった方法が取れたはずだ。大公としては両家の諍いが公国の発展を阻害しているのを苦々しく思っているわけだから、この好機を逃すわけがない。大公が認めたのであれば両家の親がぐだぐだ文句を垂れる筋合いはなくなる(ティボルドは暴れまくりそうだが)。
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