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構成はいいんじゃないかな、結構おもしろかった。ネタバレだが泥棒は雨戸を外すって話を思い出した。
お金持ちは庭に面して33間堂みたいな長い縁側を持っていて、そこを16枚とか32枚とかの雨戸で閉めるわけだが、達人は片側の手の平を中ほどに置き、もう片方の手を下のほうにかけて無言の気合とともにきれいに繋がったまま外してしまうのだそうだ。
圏外経由で2ホップ。
を言いまくってるところから本当の寝言へ。
何が寝言かと言えば、rikaibこそが「直感」ってことなのだが、最初に「直感力あるいは総合分析力を無くすための訓練」をしていることを問題視している。前半の論法に立てば、直感が働かないことを問題だと言っているのに、後半はすっかり直感を働かせることを問題だと言い出してる。これが寝言じゃなければ一体なんなんだろう。って言うか、直感なんて言葉を妙な直感力を使って引っ張り出したのがまずいところ。
いずれにしろ、直感ってのは積み重ねないものだ。連続性だけだと何の飛躍も生まれない。だからこそ、もし直感力(しかし、この言葉は妙だな。直観力だよな)を働かせない訓練をしているのなら確かに問題で、それそのものは変な主張ではない。だが、直感力(それにしても変な言葉だ。絶対的に直観と取り違えているんだろうな)を働かせた途端に連続性がどうしたと言い出されてはたまったもんではない。まあ、辞書でも引いてオレ様直感力には頼らないようにすべきだろう。
つまるところ、この人は自分が主張したいことと使うべき言葉に「連続性」が無い。多分、ゲームのやり過ぎで連続性がある文章を作成する能力を失ってしまったんだろう。
というわけで、確かに、こんな人に説教されたら事務所から消えもするだろうな。
ここで直感を働かせずに推論をしてみよう。
1.ゲーム小僧の悪口を言いたい
2.どうも論理的な思考ができない若者が多いようだ
3.それが証拠にすぐ会社をやめる。
4.よし、ゲームが悪いということにしたいのですねな文章でも書くか。
5.ゲームばかりすると論理的な思考ができなくなるし、ストーリーを追えなくなる。
6.ま、待てよ、ゲームってのはシナリオどおりに任務を遂行するわけで、5は変だぞ。
7.よし、ゲームばかりすると直感が養えなくなる。
8.ま、待てよ、ここで必要なのは論理的に考えられなくなると結論することだぞ。
9.よし、ゲームばかりすると論理的な思考も直感も養えなくなる。
10.いいぞぉ、のってきたぞぉ。
11.で、用意しておいた結論を書くとするか。
12.論理的に考える能力が欠如しています。
1と2を一緒に論じようと言うのが間違いですな。
毎日続く単調な作業。
手応えのない(フィードバックが無い)仕事。
粘土砂漠の人生のようだ。
これを続けると、確実に、直観力を喪失するだろう。毎日が連続である限り、何も新たな発見はなく、新たな発見がなければ、いつも見慣れたものがひそかに持つ隠れたものを見つけた時のはっとする驚きや、思いもかけない美を見出したときの胸騒ぎを忘れてしまうのはたやすいことだ。忘れてしまえば、そのようなものを探すこともまたなくなってしまうだろう。探さなければ見つからないもので世界は成り立っているのだから。
くだらない例だが、黒澤明の「生きる」で志村喬が沈み行く太陽の美しさに衝撃を受けるシーンがある。有名なシーンだ。有名なのはそれが見た人に共感されるからだ。そういうことだ。
同様に、毎日続く単調な作業と成果が見えない仕事は、物事を考える能力を根こそぎ奪い去る。必要ないからだ。
もし、50歩100歩譲って今の若者が……という寝言に真実の一片でもあれば、それは昔と同じく今に至っても、人間の生活が毎日が単調で退屈で同じことの果てしの無い繰り返しだからだ。でも実際はその仕事の進め方が間違っているか、その仕事そのものが間違っているかのどっちかだ。
確かに、ゲームにはまって単なるルーチンワーク化するときがあるけどね。しかし仕事と違ってやめるのは簡単だ。飽きれば良いだけだから。
寝る前の部分は結構勉強になった。夢物語から要件定義して実装に落とし込むってことだな。
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