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自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝(デンディ,レスリー)
1770年代に、100度を超える部屋の中で、人間が熱で死ぬのはどのくらいだろうかと実験した男たちに始まる、なんというか好奇心と研究への情熱あふれる人たちのエピソード集。
最初のエピソードは、8人の医者、植物学者といった人たちの挑戦。人はどのくらいの高温に耐えられるかを自分たちで実験した。サウナでは50度台でかんべんしてくれだが、ストーブを燃やしに燃やした部屋だと99度とかでもOK。最初の予測では体温は上昇するはずだったのに、最終的に、127度の部屋に7分いたけど、それでも体温は36.7度程度。でも、卵や肉はばしばし焼けていく(33分でウェルダンになるという記録を取っていたり)。何が違うかといえば、卵や肉と違って、おれは汗をかいている。
というわけで汗のありがたみがわかり、体温が高くなるというのは異常事態だとわかり(体温計の必要性が理解されたり、機能的に洗練されていったりとか)、というような話が並んでいる。
すべてのエピソードが生き残る話ばかりじゃない。たとえばマリーキュリーとか(でもこれは知ってはいたけど)。夫のピエールは腕にラジウムを直接当てて焼け焦げるのを観察してみたり(で放射線療法が生まれる)。マリーキュリーの研究ノートってフランス国立図書館に保管されていて希望すれば読めるけど、今でもノートからは微量な放射線が出ているので、図書館を訴えないという誓約書にサインが必要だとか。
#追記:これ、アマゾンでは品切れなのか。おれは3日前に八重洲ブックセンターで買ったんだけど、平積みのピラミッドができてるよ。っていうか、1900円の本を3800円で出品してるやつがいるが、そりゃひどいだろう。と思ったけど、紀伊国屋文左衛門とか河村瑞賢の一種と考えれば、まあそれもありだとも思わないでもなくもない(でも瑞賢や文左衛門はとんでもなくリスクテイカーだったわけだが)。
#木筒にいろんなものを詰め込んで丸呑みしたり、ゲロ吐きまくっていろんなものを漬け込んで、胃液が酸性で、胃によって消化することを実証した18世紀のイタリアの科学者(スパランツァーニ)の話も気に入った。特に、従姉妹がボローニャ大学の教授をやってて、彼女の勧めで法学者コースから科学者コースへ転進するところ。18世紀のイタリアの大学には女性の教授がいたっていうところからして、いかしてるね。
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