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それにしても
ばかげた値段をつけたものだ(17500とか付けている)。普通に
パリ・オペラ座バレエ「シルヴィア」(全2幕) [DVD](パリ・オペラ座バレエ)
これを買えば良かろう……と思ったら相当いじくっているのか。
というわけで、ロイヤルバレエのアシュトン版改を観に上野へ出かける。
いつもなら聚楽台の妙な階段を抜けて西郷どんのところへ出るのだが、すでにして廃墟のようになっていて通れるかどうかわからないので、カモンカカムカムの脇のこじゃれた階段を上ってお山に着くと、おそろしい行列に出会ってびっくりする。キューがどこまでもどこまでも伸びて、伸びた先から折り返してこちらにキューしてきて、また折れて、はるか向こうまで延びてと延々と続いて留まることを知らない。元々森の小路といった風情なのだが、その小路がすべて人の群れで埋め尽くされているのだ。
上野でこんな行列を見たのは生まれて初めてだ。パンダの行列より長いんじゃなかろうか。
とにかく密な行列なので、おれは文化会館へ行きたいのになかなか向こう側へ渡ることさえできない。
いったいなんなんだ?
と思ったら、井上なんとか(おれ、よく知らんのだが、ちょっとアマゾンで調べたら、これだったのか)の最後のマンガ(どういう意味なんだろう)とかいう展覧会のようだ。
老若男女、基本はカップルか女同士、ちょっとおもしろい感じの行列であるが、とにかくこれだけの行列は、ロンドンの死の河くらいでしかお目にかかれない。薬師寺展だってこれに比べればがらがらどんだったんじゃないかなぁ。というか、美術館の前をやっとのことで通り過ぎたのに、さらに複雑に行列が折れくり曲がって道を占領しているからどうにもこうにも動きがとれない。
いやもう、暗い森の中を密な行列がうねうねと幾重にも折り重なっておれの通行の邪魔をしている。前へ、前へ、前へ、邪ァ魔ァをぉおォォすゥるゥなああ!!
で、ヴァルキューレがジークフリートの角笛を吹くという身も蓋もないバイロイトの影響下の作品で唖然とするのだが、これはむちゃくちゃおもしろい、かなぁ。
たとえばコッペリアは2幕が長い。コッペリウス博士の家に忍び込んで人形をいじくりまわっていると、そこに博士が帰ってきてさらに忍び込んできたフランツと長談義して、さて魔法をかけようとするとスワニルダに遊ばれてしまうという、ちゃんと回帰する三部構成になっていると今になって気づいたが、と好対照。シルヴィアは2幕が短い。正味20分ちょっとという感じ。オリオンに矢を奪われて、酒を飲ませながら踊りまくり、エロスが船に乗って助けに来る(これがびっくりするくらい突飛)。
3幕は同じくらいわけもなく長いのだが、そこは伝統芸として。で、なんで猫が二匹で踊りまくるのかすごく不思議だったのだが、後でプログラムを読んだら山羊だと書いてあって、ああそれなら羊飼い(山羊飼いじゃないのだが)が主役の一方だからわからなくもないなぁと納得する。尻尾がネコにしてはちょんちょろりで犬みたいだと思ったら、山羊だったのか。
で、またエロスが人間の中で活躍するときの扮装がどこをどうみてもトチロー以外の何物でもなかったりするから怪しいことこのうえないのに村人たちは命を救うためにお願いしているし、一幕の石像のままの白塗りの不気味さとか、プログラムではディアナとダイアナが適当に使われていたり、めったに演じられない作品ならではの良い味を醸していた。
で、三幕のフィナーレ、きれいに管が混ざった和音で終わるのだが、ここがまたバイロイトの影響下にあるように思えて、好きな音だが、やはり妙な感じではあった。
ジェズイットを見習え |
ニュースで見たような記憶が。マンガの原画をストーリー順に並べた展覧会だったでしょうか?<br>雑誌連載の最後をそうしたのであれば行列も頷けるかも?
ポスターがすごくそそられるデキなので、閑があればむしろ見たかったくらいでした。木陰の行列だから読書や歓談しながら並ぶなら、むしろ良い行列かも。別の目的があるこちらにとっては、えらく邪魔だったけど。