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イーストウッドの最後の主演作らしい自演作。
ほぼすべて観たつもりだが(マディソン街とか見損なったのはあるけれど)、最高傑作だと思った。いろんな面から。
まずは、ウェスタンの文脈で。あれは、絶体絶命の状況で殴りこみに行くのがクライマックスだ。オーソドックスなウェスタンであればまともな撃ち合いとなる(ドクホリディは咳き込んで撃たれるとか……平手造酒みたいだな、パイクとボーグナインは行くか、当然だと掛け合いながら歩き出す)。その面から。
その一方でマカロニウェスタンの文脈で。たとえば、鉄板を腹にまきつけたのは若きイーストウッド。両手が使えない状態なのがフランコネロ(だと思ったけどあやしい)。孤立無援の心やさしきならず者が知恵を絞って勝負に挑む。その面から。
いずれの面からも、グラントリノは究極の選択だろう。脚本もすばらしいのだと思う。
荒野の用心棒 完全版 スペシャル・エディション [DVD](クリント・イーストウッド)
続 荒野の用心棒 [DVD](フランコ・ネロ.ロレダナ・ヌシアク.エドゥアルド・ファヤルド)
まるで廳徳のように棺桶を引きづりながらフランコ・ネロが荒野をさすらうおっかないウェスタン
下世話さも捨てがたい。人種ジョークとか、ばかでっかな文字盤の時計のプレゼントとか、懺悔とか。わかりやすいユーモアの数々。
いいかい坊や、その場にいないやつの悪口を言うんだぜ、とか教育するんだが、なんとアメリカという国は空気重要な社会であることか。それはそうだ。なぜなら地球の表面は空気で覆われているのだからしょうがない。
葬式で始まり葬式で終わる枠組み。
過去の記憶は今やフラッシュバックすらなくただ語るだけ。
磨かれた車。
見事に道具で飾られたガレージ(これはスペースカウボーイか)。
朝鮮戦争(直截的にはハートブレイクリッジだが、その背後には赤い大きな1の軍曹の記憶がよみがえる。2つほど)
フリーザーの重さの質感と対比(重そうではあるが、タオは淡々と引っ張ってた)。
というか、ごてごてした絵や延々と続きに続くクレジットはごめんと言うわけで、これは映画的な資産を誰が継ぐかという話なのかも。
ジェズイットを見習え |
手をつぶされたのはフランコ・ネロ(ジャンゴ)でしたね。<br>グラン・トリノの唾吐きはマカロニウェスタンぽかったですね。
そうそう。思い出したけど、婆さんもいい味でした。