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26日はオーチャードホールでKバレエ団の海賊。アリが名前ならババは名字だが、東洋文化ならババは名前だ。もし日本で馬場さんと結婚したら馬場ババというどえらくこじゃれた名前となる。
28日は上野で東京バレエ団のシルヴィア。ジークフリータンな角笛がポニョいとか。999の車掌がエロす、といっても通じないだろうから、それはなし。
海賊は、ABTのマラーホフがジャンプしているDVDのジャケットしか知らなかったので、観てわりと驚きがあった。まず、主役は海賊の船長だと思うのだが、踊りの面ではアリという名の子分だということ。まるで夏の夜の夢だ。オベロンはえらいがくるくる回るのはパックの仕事。
というわけで熊川はアリの役。そんなに高くは飛ぶわけではないが、くるっと回って落ちてくるのの連続とか、妙な脚の開いて閉じるて着地の連続とか、実に楽しめる。若手だと思うが、奴隷商人役は好きだな。船長はあれ、踊りも踊れるんだという意外感があったステュアートキャシディ(という名前だったような)。あまりうまくないような気がするが、役柄からそれでも良いのかも。
音楽は、ふーむ、という感じで、ジゼルよりは遥かにドラマティックで楽しめるが、印象には残らなかった。でも、船を使った演出はおもしろい。というよりもKバレエの舞台装置はいつみても美しい。
今回も、福田指揮者がいろいろやったようだ。オーケストラはいいなぁ。
以前ロイヤルバレエで観たときと同じような印象ではあるけれで、序曲がまずとても良い。でも記憶にない。でも、ドリーブは相当な前進で、アダン、ドリーブがいてこそのチャイコフスキーと言えなくもない。
シルヴィア登場の角笛は良い感じ。やたらと振りの大きい指揮者(あたまは入道)で、うまかったと思う。管も良い音だった。
話のくだらなさも天下一品で、エロスはギリシャ神話だと思うが(ローマならキュピドだ)、ところがアルテミスではなくディアナだし、オリオンは本来アルテミスの恋人のはずが、ディズニー版美女と野獣の狩人みたいな乱暴者(しかも、神様エロスより取っ組み合いではつよす)。が、ディアナの矢でいとも簡単に死んでしまう(オリジナルの神話に無理やりあてはめれば、この浮気者、というところかも知れないが、もちろん、そんな含意はなさそうだ)。
主役はベルリンの人(名前忘れた)。スラッとして確かにシルヴィア風、と考えると、いわゆる舞踏家っぽい正統的な舞踏家で、なぜかおれはこういう舞踏家を観るのは久々なような(ルテステュをこないだ観たけど)。どうもコジョカルとかマルケスみたいな小さくて可愛い系の舞踏家ばかりを観ている気がする。
しかし、シルヴィアは観ていておもしろいし聴いていて楽しいのだが、バレエとしてはまったく印象に残らない不思議な作品だ(だから歴史に埋もれたのかも)。
上野だからかも知れないがこちらも舞台装置も良かった。
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