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子供がディズニーのターザンをツタヤで借りたので観た。
正直、これっぽっちも期待していなかったのだが、これはどえらく良かった。
始まると音楽が最上のロックで、これも良いのだ。最後にクレジットを見て、あーフィルコリンズだったのか、とえらく納得した。が、どういう理由から起用したんだろう? 結果オーライとしても不思議は不思議だ。
この歌はいいなぁと思いながら観ていると、特に細かな能書き抜きで淡々となぜターザンがターザンになったかが(言葉による説明ではなく)映画で語られる。ほー、と父親と母親の働きぶりを感心しながら観ていると、次にゴリラの集団に視線が移る。ははぁこれが育ての母になるのだなぁとか観ていると、予想してなかった展開になる。おれは、ゴリラが子供を誘拐して、あきらめて帰国した両親が10数年後にアフリカを再訪してターザンと邂逅するとばかり思っていたのだった。
いずれにしても、最初に赤ちゃんがゴリラと出会うシーンで目がうるうるしてしまうのは、お父さんモードと年寄モードの混交による条件反射が原因だとはわかるので、それだけならツボにハマることはないはずだ。
豹に引っかかれて一瞬傷跡に血が滲む以外は、ナイフにすら血がつかない(しかも傷はいつのまにか治っている)とか、丸出しのディズニー映画だし、銃を持つ悪役と利発な娘と浮世離れした親父という組み合わせは美女と野獣みたいだし、ジャングルと口だけ達者なやつと押っ取り刀の力持ちの組み合わせはライオンキングだし、なんかどこかで観たようなパターンだなぁとか否定的に観たりもするのだが、それも別段悪い印象でもない。
髪型とちょっと凶暴な目つきをするせいで、ターザンがニールヤングみたいに見えるのもそれほど気にならない。
掌と掌を合わせてナームが伏線だったり、きっちりとシナリオが練り込まれているのもいつものことで、だからどうだというわけでもない。
この映画の最大の魅力は、ジェーンの造型だと思う。知性も身体能力もえらく高いスーパーウーマンなのだが、それが嫌味にならないのは、声が妙で顔と動きがアニメっぽいのでその設定が程よく中和されているからだろう。(この映画のターゲットはミドル~ハイティーンの女の子なのかも知れない)
部分部分におそろしくツボにはまる箇所がある。たとえばジェーンがターザンに言葉を教えるためにスライドを見せるところで、宇宙の絵が出てくるのだが、ここが素晴らしく良い。人間ってすげぇと心底納得する。で、そこにフィルコリンズの音楽が流れて、おれの知らないことを教えてくれくれみたいな歌が入る。
とは言っても、文明=靴という暗喩が入って結局脱ぎ捨てることになるのだが、そこまで物語が進むとどうでも良くなってくるし、実際話の流れ(と90分という時間制約)からはそうならざるを得ないのだろう。
ターザン スペシャル・エディション [DVD](トニー・ゴールドウィン)
というわけで、これは驚いた。まさかターザンに感動させられるとはね。
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