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ついに4巻が出て、完読。
鈴木みその作品って、相当以前に、ゲームスクールのルポマンガをネットにアップされているのを読んだのが最初だが、それで興味を惹かれて銭(これもおもしろかった)とか、これとか、単行本で買う作家の1人となった。
伊豆は下田の寂れきって廃業というか倒産している温泉宿に、ゲーム企画屋のなれの果てやら、ネットアイドルのなれの果てやらが流れ着いて、そこで何かが始まりそうだとおたくの群れが集まってきて、新天地を作ると書いてみれば、ちょっとした水滸伝なのだな。
そうか、水滸伝なのか。社会構造の道を外れた漢たちが世相に乗って変革を志す物語なんだから、社会構造と世相、個々の好漢たちが道から外れた背景と性格がしっかりしていれば、物語としておもしろくないはずがない。そして当然、どえらくおもしろかった。それにしても、鈴木みその観察力(あるいは取材力と構成力)は大したものだ。
本編では完全に敵役だが、別の見方をすれば21世紀のスタヴローギンのような老舗旅館の次男坊が、打倒すべき目標を得て社会復帰するエピソードがおれには印象的だ。
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