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前橋の駅前通りの近くのででっかな本屋の煥乎堂(岩波文庫の充実っぷりが素晴らしいが、さすがに版元品切れのドンカルロス―スペインの皇子は置いていない)をうろうろしていたら、古代ぐんまの本が売っていたので買った。何しろ、埼玉ほどではないが(というのは通る場所の問題だったようだが)やたらと古墳があっておもしろいからだ。
東国文化副読本 - ~古代ぐんまを探検しよう~(群馬県文化振興課)
すると、200円と言われてびっくりする。何そのばかげた値段? (群馬県が小学校の社会科の副読本用に作って一般に頒布しているものらしいが、良い仕事をしていると思う)
値段はティッシュ並みだが中身の充実っぷりは素晴らしい。大判カラー印刷で26基(寺も含むが)の古墳については全体像と出土品、詳細説明がついているし、大和朝廷との関係についての説明や、県を5つのエリアに分けて132基の古墳の位置がびっしりと示した地図まである。というか、Web版はないのかな?(Googleマップ連動で)
ところどころクイズが出ていて、しかも設問がなかなかうまくできている。
例 P.27(山王廃寺のページ)『このころから古墳→寺に変わったのはなぜだか考えてみよう』
5世紀あたりの天皇権力確立前から、どうも畿内政権(群)と群馬の総社を中心とした豪族(群)は連携していたらしい。
中国か韓国かはわからないが、外来人(それ言ったら大和も同じだろうが)には住みやすかったらしく、群馬に腰を落ち着けたらしい。
・もっとも縄文人の居住跡もあるから、例の縄文-弥生混合集団から発生した豪族なのかも知れない。
いずれにしろ、魏志倭人伝には馬がいないと書かれていた日本で、5~6世紀に群馬で馬を育てて畿内に輸出していた痕跡があるらしい。ということは、結局、中国か韓国から騎馬を引き連れて来た連中が群馬を繁殖の場として選んだことは間違いないようだ。
(P.22 6世紀後半の山王金冠塚古墳から出土した金冠の意匠は明らかに韓国の影響下のもの)
かくして古代の軍事政権の必需品の鉄と馬のうち、馬は群馬、鉄は中国(地方)-畿内で生産/交換するようになったらしい。
おもしろい。
追記:教師用の解説書を見つけたがすげーつまらなくて驚いた。しかも小学生用ではなくて中学生用だというのにもびっくりだ。本当にこんな意図(たとえば『国民としての自覚を深める』(P.3))で編纂したのかなぁ。
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