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ユーロスペースへこの世界の片隅にを観に行く。
チケット予約制度とかないから、9:30の整理券配布のころに着くように加減して行き、10:30の回を選ぶ。40分程度の空き時間ができるが、(時間的に)ゴーストタウンと化したラブホ街をうろつくのは楽しいのでまあ良いかな。
で、うろつきながらサンタ帽を被ったピカチュウを捕まえたり、お稲荷のジムを攻略したりしていると、後から家を出てきた妻から、道頓堀劇場のところで道がわからなくなって遭難したというメッセージが届いたので2頭目のカイリューをギャラドスで仕留めたところであわてて迎えに行く。道路に絵を書きながらぼーっとしているかと思ったら、そんなことはなかった。そういえば急に思い出したが大芽園ってどうなったんだろう? 高校のころは良く食べたな。
で、道々話を聞くと、ムルギーのほうへ曲がるところまでは良かったが、ブラックホークだったところを越えたあたりでマンションの行き止まりになってそこでパニックになったというので、それは一見さんが攻め込まないようにしてある孔明の罠なんだと説明しながら抜けてみせる。
予告編を見ているとキンフーの侠女の予告編が出て来て思わず懐かしくなる。
そうそう、キンフーは(1980年代カルト的に)最高の作家の1人なのだった。まったく忘れていた。
が、一緒に借りたビデオを観たはずなのに妻はすっかり忘れているようだった。
で、まあ本編が始まる。ユーロスペースの初回で80%程度の入り。そんなものかな。客層いろいろ。
くだくだ説明し過ぎずに映画としてアニメを作っているがとても素晴らしい。語られないことや見過ごしたものが存在することこそが正しく世界を認識することなのだ。まぎれもない傑作だ。
悲しくてやりきれないのは、闘争が不完全燃焼のまま終わってしまったからなのだが、最後、市井の人として死ぬか勝つかの2択だと信じて我慢していたものが、負けるという第3の選択を前にして感情が爆発するところで、ああ、そういう考え方もあったのかと初めて知った。なるほど、それであの曲なのか。
左手で子供と手をつないでいる別の人生を歩んできたもう一人のすずの右手の先には何があったのだろう。
原作は読んでいないので細かな脈絡は想像するしかない。
一番の疑問点はどこで周作がすずを知ったかなのだった。
最後、ワニの奥さんを人さらいが連れて行くところから、お兄さんがからんでいたのかなと考える。
4歳差ということは、10歳と14歳、途中で引っ越したとかだとしてお兄さんと同級生だったという可能性はありそうだ。しかしそうすると19歳で結婚だから9年間。そんなものかな。
クラウドファンディングの出資者を眺めていて、下のほうで女郎街で再会した座敷童のエピソードが流れていることに途中で気づいて最初のほうを見逃してしまった。
この世界の片隅にを観ていて、そうなるとは知らなかったのだが(全体から見るともっと大きなものが出てくるのでさほどでもないエピソードのような気もするが、それより前に語られるさまざまなエピソードからはもっとも重要な気がする)喪失について、何か以前、似たような感覚を覚えたことを思い出して、それがひっかかっていた。
そして悲しくてやりきれないから、ふと思い出した。
高校の頃読んで、リストと呼ばれたピアノの才能あふれる少年が新宿で機動隊に指を切断されてしまうところで感じたものだった。
どちらも週刊漫画アクションだな。
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