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日々の破片

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2018-04-29

_ チャペック兄弟と子供の世界

日曜の午前中なので松濤美術館。

チャペックといえばカレルの山椒魚戦争をSF全集で読んだくらいで(もちろんロボットの造語者ということは知っている)あまり知らないので、子供の世界というのと、兄貴のヨゼフについてまったくわからないので観に行った。

ら、知っていた。

長い長いお医者さんの話の人だったのか。

地下から始まって2階で完結する比較的小さい規模の展覧会だが、最高だった。

まず、ヨゼフの腕前が素晴らしい。

面倒だから意識の流れ。

ふと今気づいたが、ヨゼフとカレルって、よもやチェコ語でヨシュアとカインじゃないだろうな?(そういう親はいないとは思うが、というか順番も逆だからあり得ないか)

最初に普通に近い絵があり、いきなり構成主義者の画が出てくる。

と思ったら、展示説明のパネルを読むとキュビスムと書いてある。

あ、今はじめて、キュビスムと構成主義がパリ-プラハ-モスクワのラインでつながった。

最高におもしろいじゃん。

ヨゼフはどんどんシンプルな線描に近づく(が、その裏ですさまじい習作を作りまくっていることが鉛筆スケッチで展示される。どれも切手サイズ程度のメモみたいな感じだが、いずれもとても良い。おもしろそうだなぁ)。

到達点は一筆書きによる身体の周りにぽわぽわさせた一群の子供の画だ。

10年代の暗がりの子供たち、20年代の幸福そうな子供たち。

すげぇ。

パネルを読むと、やたらと子供の心を失わないがどうたらと能書きが垂れられているので、ふと、心は子供、技法は大人と、コナン君みたいなことを考える。

ぼさぼさ髪の少年。

子供が生まれて、子供のために動物園の画を描く。

太った兄貴とがりがりの弟の魔術師の子供たちの冒険物語。どうも太った兄貴がヨゼフなのではないか。写真があった。それで当たりっぽい。

兄弟で絵本を作りまくる。他の画家との共作(アンソロジーみたいなものか?)もあるが、洗練さと構成の見事さで頭抜けている。

それぞれ別途に作品を作ったりもする。長い長いお医者さん(しかし、全然覚えていない)の中の郵便屋さんの長い旅路と最後に女の子に窓の外から手紙を渡すところ。通りすがりが2人、こちらを見ている。第3者の視点こそが映画だというのはニコラスレイだったっけ?

プラハのアパルトマン(ネコしか飼えない)から引っ越した先で犬を飼う。

写真に凝って写真を撮りまくる。

構図が抜群で、100年近く前の写真とは思えない。

それにしてもビクターのニッパー君にそっくりだ。当時やたらと流行した犬とパネルに書いてあるから、きっとニッパー君もこの時期に蓄音機からの彼の主人の声に耳を傾けたのかも。というか、ニッパー君は陶器のツルツルの印象が強かったが、実はテリアのしゅわしゅわ犬だったのか。

愛用の写真機。写真が気に入って写真集まで出版することになる。

絵本の出版屋さんとの良好な関係は、出版屋さんの娘の肖像画となる。

犬と猫の生活がとても良い。犬や猫が主人公の作品と、犬や猫はペットで人間が主役のような作品。いろいろ。

子供をテーマにした切手。しかし政府が中止したため実現しなかった。

カレルの風刺は社会を打ち、ヨゼフの画は明るい世界を希求する。

ナチスがカレルを捕まえる直前、肺炎で死ぬ。

ヨゼフはベルゼンに送られる。

生還者の名簿にヨゼフの名前はなかったので、収容所で死んだと推測される。いつのことかはわからない。

1階の売店でいろいろ買う。

岩波少年文庫の犬と猫があったら(未読だし)買おうと思ったがない。

代わりに大判の彩色版のがあった。

中を見ると見慣れぬアルファベで書かれていて、チェコ語は読めないな、と思って戻そうと思ったら、頭の中に「あの子たちに謝ったほうがいいいよと犬が言った」という言葉が流れ込んできた。

あれ? おれ読めるぞと不思議になってあらためて見たら、フランス語だった。

ぱっと見、特徴的できれいなフォントなのだが、gがちょっと見慣れないことと、最近読むことが無いアクセンテギュやアクセンシルコンフレクスが出てきているので見知らぬ言葉(この場合はチェコ語)だと思い込んだのだった。ところが言葉を拾って読んでしまったらしい。モ、モ。

おもしろいなぁ。

あらためて表紙を見たら普通に犬と猫の物語と書いてあった。

フォント含めて美しいので買った。

Histoires de chien et de chat : Sur la façon dont ils vivaient ensemble et sur bien d'autres choses encore(-)


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