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読了したのでメモ。
4部構成。
全体としては一貫した主張をするためのエッセー。未来予測という確立させようがない分野に対してそれなりに成功しているオライリーという人の考え方を示し、どう未来がなりそうなのか、そのためにはどうしなければならないか(日本憲法と同じく、良いものを守るには不断の努力が大切というやつだ)を考えたもの。
結論としては、パーソナライズされたタイムスケジュールと人類の生産能力の向上によって働き方や政府のあり方も変えられるし、その方向に進んでいるように見える。とはいえ、いくらでも悪くすることはできるので、皆さん、人類全体の福祉という観点から行動を律しようよ、という内容。
第1部は、オライリーがオライリーであるためにどういう機会にどう考えてどう行動したかという内容。こうであろうというマップ(鳥瞰)がなければ正しく考えることはできないが、一方実際はこうであるという現実を正しくフィードバックさせないと間違えてしまうから注意ということ。
ここではUberの経営者がどれだけひどいやつかとは無関係に、こうであって欲しいという願望と、こうできるという技術的確信と、中産階級の激減(貧困層の増加)という社会的背景がからみあって、リアルタイムなオンデマンド雇用という新しいジャンルが生まれたことを示す。
第2部は、プラットフォームについて。一体プラットフォームとは何なのか、どういう経緯で生まれて、どういうことができるのか。
第3部は、社会のあり方について。ミルドン・フリーマンは善意からだろうが、誤った方向に社会を導いた。
第4部は、未来はどうあるべきか。端的には、生産性の向上をどう配分するかということ。
19世紀イギリスでは15時間労働が当たり前だったが、それを12時間に減らすなんてあり得ないと資本家たちは言った。12時間労働になると、それを8時間に減らすなんてあり得ないと資本家たちは言った。
植民地から収奪した(実際の流れは、本国で生産した材を植民地へ送り、そこから対価を得ることで、国内へ還流して経済発展をしたのだから、わざわざ政治的に支配しなくとも市場を正しく組み込むだけで良いと了解できた1950年以降は植民地をわざわざ経営するという愚かな政策は負の遺産を漸次解消する必要があったポルトガルくらいでしか残らなかった。
結局のところは、公正な方向のほうが、全世界が富むことになったし、、それによって世界中が医療を甘受できるようになったことで、さらに全体が好ましい状態になりつつある(ファクトフルネスだ)。
フリードマンの方向は、努力した人が報いられるといえば聞こえは良いが、実際には大多数の人が取り残される状況を作ることになった。これでは局所最適化の罠から逃れられていない。全体最適化したほうが結局はうまく世界が回るというのは明らかだ。技術とビジネスを全体に奉仕させる方向で考えた方が得だ。
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