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メソポタミアの農夫は収穫した麦を保存する小屋にどこからともなく入り込み、袋に穴をあけて少しずつ麦を減らしていく小さな生き物に手を焼いていた。すばしっこいうえに、やっとの思いで仕留めたと思ってもまたどこからともなくやって来るからだ。
ある雨の日、家の扉をカリカリする不思議な音に気づいた。
何だろうと農夫が扉を開けると、そこには膝と踝の間位の大きさの、耳が尖った妙な生き物がいた。
生き物は農夫を認めると、足元に咥えていた物を置き、トコトコと家の中に入り込み、床の上に置いてある丸い皿の上に座り込んだ。
あっけに取られていた農夫が生き物を追い出そうとするのと、足元に置かれた物があの憎らしい小さな生き物の死骸だと気付くのが、ほぼ同時だった。それで農夫は前者については目をつむることにした。
突然やって来た耳の尖った生き物は時々いなくなると小さな生き物の死骸(たいていの場合半身になっている)を農夫に寄越し、それ以外は大抵いつもの皿の上で丸くなっていた。
(https://twitter.com/arton/status/1229398602327281664?s=20 を採録)
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