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としまえんが本日閉園するらしい。
としまえん(豊島園ではなくなったのか?)には、子供の頃に記憶している限り2回連れて行ってもらった。2回目は間違いなく1969年(後述)なので小学生になったかならなかったかの頃だ。
1回目はとにかくミステリー館が怖かった。あまりに怖くて1度も見ていない。おかげでそれ以外の記憶すらない。
2回目は多少余裕があったのかミステリー館もちゃんと見ていて、道の向こうに幽霊が出て来たりするのは怖いが、他の遊園地のお化け屋敷と違って、人間が触ったりするのではないので、それなりに楽しめた記憶がある。
で問題はアフリカ館だ。1969年に開設されたこのアトラクションが出来立てで、すごく楽しみにしていたのだ。
ジープを模した乗り物に乗って勢いよく出発すると、いきなり岩山に穿たれた洞窟の入り口が開き蛇がものすごい勢いでシューシュー舌を出してこちらを脅す。と思うやいきなりヒューンと豹が頭上を飛び越していく。すげぇおもしろい。
子供心にとてもわくわくどきどきして、最後にエジプト旅行案内になって(多分、スポンサーについてもらった飛行機会社の広告なのだろう)おしまい。
とにかく、頭上を勢いよく飛び越していく豹のかっこ良さはその後も忘れることはなかった。
さて、時は流れ1990年代、豊島園には行ったことがないという奥さんに上記のようなことを話して、20年ぶりに一緒に豊島園を訪れた。
もちろんお目当てはアフリカ館だ。
「とにかく、すごいんだ。いきなり蛇が洞窟の入り口の上から首を出してシューシュー赤い舌をチロチロさせるし、豹がヒューンと頭上を飛び越えるんだよ」
で、ジープに乗るとカタカタ言いながら動きだす。あれ? カタカタだったっけ?
そしてのんびりと洞窟の入り口が開くと、コテコテと妙な機械音を立てながらのんびりといかにも作り物丸出しの蛇が出て来て引っ込む。
「え?」
と思う間もなく、次の入り口で、「いや蛇は実際にはチロチロ舌を動かしていなかったけど、豹はすげぇんだ」と言うのと扉がノタノタと開くのがほぼ同時。
そして、コトコトコトコトと音を立てながら、豹のように見えるはりぼてをくっつけた車が頭上のアーチに敷かれたレールの上をのんびりと横切って行く。
その永遠とも思われるのんびりとした豹をくっつけた車の移動時間をおれは耐え難いほどの苦痛を感じながら眺めるのだった。
「まあ、子供の頃はなんでも大袈裟に見てしまうものだからしょうがないね」と慰められた。
たしかに、三匹の子豚の歌を「ブーフーウー、ッ、三匹の子豚」と思い出しながら歌う速度と、懐かし番組特集で流れる「ぶー、、、フー、、、ウー、、、」と流れる当時の主題歌の速度の差のようなものかも知れない。
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