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最近、見たことも行ったこともない商店街に行くのが妻との間でブームになっている。
先日は十条というところに行って、からし焼きという食い物を提供する店が何軒かあって、そういう食べ物(1965年からの十条のソウルフードらしい)の存在を知ったりとか、それなりに発見もある。
で、それより前に大田区のほうの商店街に行ったときに、近所からは完全に絶滅した、子供の参考書と大人のエロ本と、どうでも良いベストセラーと嫌韓本と鬼滅がおいてあるタイプの本屋に立ち寄った。
立ち寄ったが、特に欲しいものも見つからない。
とは言え何も買わずに立ち去るのもくだらないから、目立つところに置いてあるし、知らん作家ばかり集めた短編集だから、最近の作家の作品も読めるしそれなりに暇潰しに読むには悪くは無さそうだなと、新潮文庫の「鍵のかかった部屋」買ってみた。
で、読んだら、大しておもしろくなかった。あの本屋にはふさわしいのかも知れない。
前書きに使い古された鍵に紐を引っかけて密室を作ることをネタにした短編集で「ボーナストラックが最高」みたいなことが書いてあって(というか、買うときはそんな能書きがついていることも気づかなかった)、それは気にせず順番に読み始めて、とてもつまらん、つまらん、ちょっとはおもしろい(微妙にSFで少しばかりのセンスがワンダーしていなくもない)、最大限につまらん、ときて、ボーナストラックはそれなりに余韻がないわけでもなく、まあ、一番ましだったかな、と思いながら読了。
が、本当のボーナストラックは、先ほど、書影を貼るためにアマゾンで検索して、ついでに評を斜め読みしたときにあった。
ほぼ全員が、おれが一番ましだなと思ったボーナストラックをクソミソにこき下ろしている(特にトップバッターは一生懸命に皮肉を書いていて物悲しい)。
なるほど、これが現代の日本の推理小説界(の読者層)なのか。と、それが一番おもしろかった。
それはそれとして、ボーナストラックに余情があるといえば、「もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて: 続・情報共有の未来」だな。
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