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日々の破片

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2021-11-01

_ スキヤキ

妻と昼飯食いに行った店が出した牛肉と豆腐がやたらと旨かったので考えた。豆腐は最初厚揚げかと勘違いするくらいに外が真っ黒になっているのだが、それは煮汁がしみ込んでいるからだった。

で、やたらと甘い。そうか、これはスキヤキなのだなと気づいた。

で、考えてみるとスキヤキってこの数十年食べた記憶がないというと少し大げさで子供が幼稚園くらいの頃、原宿表参道の昔ペニーレインとかがあった近くの雑居ビルの地下にスキヤキ屋があって、そこで食べさせた覚えがあるが、それでもそのくらいだ。

子供の頃は、確かにスキヤキというのは御馳走で、年に数回くらい、卓上に南部鉄瓶を平底鍋にしたようなのを出して、まず火にかけたらヘットを塗りたくってそこに砂糖とか醤油とかを入れて作って食べた記憶がある。

なぜ年に数回の御馳走かと言えば、牛肉は輸入されていないということは基本和牛しかないからで、現在も和牛であれば100g1000円以上(普通は2000円前後する)を見込む必要があるから、家族分を用意するのであれば、それは御馳走だったに違いない。

新装版 かっこいいスキヤキ(泉 昌之)

(70年代末くらいではまだまだ御馳走なので肉をどう奪うかがネタになるくらいだったが、ほぼ0年代のテニスの王子様くらいになると安い肉は安いからシャトーブリアンのスキヤキを奪い合う話にグレードアップしていたりするのが興味深い)

が、今では牛丼に最適とかラベルに書いてあるオーストラリアやアメリカのバラ肉の薄切りを100g200円前後で売っているのだから、少しも御馳走ではなく食べられるのではないかと気づいた。

問題は割り下だが、検索するとキッコーマンのサイトに、醤油100cc、味醂100cc、水100cc、砂糖大匙4と書いてあってあまりの覚えやすさに感動すらした。

で、安い脂身多めのオーストラリア牛の小間切れと、豆腐、しらたき(いろいろ見たら、生芋がどうたらとか書いてあるのが旨そうなのでそれにした)を買って、長葱と白菜は家にあったので作ってみた。

で計量カップで醤油を計ろうとしたら妻が一体何cc使うのか? と聞くので100ccと答えたら、そんなに使うなばかみたいに言われて、ではと全部1/2にしてみたが、結果的にそれで全然問題なかった。

普段はゴマ油かオリーブ油を使うが、おそらく味が合わんだろうとフライパンに(ヘットは貰ってこなかった)サラダ油を熱してネギを転がして(というのはキッコーマンの作り方を参考にしたからだ)牛肉入れて色が変わったら割り下を入れて、白菜、豆腐、しらたきを入れて数分煮てみた(さすがに割り下で豆腐とかがかぶりきらないので蓋して3分くらい煮汁の空気を回してみた)。

で卵で食うのだが、旨い。が、最初に食べた牛肉と豆腐と違って煮込む時間が短すぎるから豆腐が崩れる。なるほど、焼き豆腐というのはこういう料理のために存在するのだなと得心した。

で、子供にも好評だったので、その後も赤身多め(そんなにおいしくならないのは、やはり牛脂の出汁が重要っぽい)だの、叩き売りになっていた黒毛和牛の切り落とし(やはり抜群に美味しい)だの、白菜が切れたのでそれっぽく春菊に変えたりとか、味はなくても食感が楽しいから榎茸も追加で入れるようにして、もちろん豆腐は焼き豆腐に変えたが、ほぼ3日おきくらいに食っているが、カロリーが異様に高そうな点は気になるが、価格的には牛丼よりも安くつく(豆腐としらたきでボリューム感が嫌でも出るからだろう)ような気がしたりする。

とにかく割り下と牛脂の味が強いので、白菜や榎茸、豆腐、しらたきのような単体では味がろくにない具か、さもなければ春菊のように強烈な味の持ち主と組み合わせるのが良い。


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