著作一覧 |
妻が途中まで観て、えらくおもしろいからお前も観ろと言うので最初から一緒に観た。映画は文句なくおもしろい(とはいうものの文句はあるので最後に吐き出しておく)。
殺人事件か自殺かが焦点の裁判の証人となる自閉症の少女(14歳くらいかな)と元人権派現拝金主義へ移行中の弁護士、冤罪製造機っぽい検事、冴えない被告のお手伝いの女性、ボケ始めているがすっとぼけたユーモアをかます弁護士の親父、弁護士との微妙な恋愛関係にある信念の人権派弁護士(勝ち目のない対企業裁判闘争中)、親がつけてくれた少女の通学のお供をしてくれる学友、少女の母親(父親はほぼ不在なのには意味があるのか?)といったいろんな要素を絶妙に織り込んで精妙に作られているのもすごいが映画としても実に抜群だった(特に最初の最初の判決後の一連の流れがうまい)。
少女がコダックのように両手を耳でふさぐシーンが何度もあるが(特に通学中に必ず吠える犬の前を通るとき)妙に印象的だ。
顔の各パーツが~のときは~という感情を示すということを示す表(母親手作り)が部屋に貼ってあるのを見て、妻がなるほど逆に自分の表情をどう作るかもわからない道理か、と言い出してなるほどの納得感。というか猫みたいだな。
同じ韓国映画のパラサイトもそうだったが、ここでも女中が出てきて重要な役回りをするのが興味深かった(とはいえサンプル2作(悪人には出てこなかったし)なので、だからどうということはないのだが、それでも普通に金持ちの家にはいるのが当然という存在なのだな)。
が、日本語タイトルがびっくりするくらいカスだ。おそらくオリジナルタイトルは単に「証人」で、これは極めて重大な意味を主人公の少女に与えているから、「無垢」とか頭の悪い紋切型の惹句をつけることで、あたかも高級なケーキに砂糖をぶちまけたかのようなぶち壊しとなっていて日本すごい。
ジェズイットを見習え |