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萩原朔太郎は、二匹のネコが屋根の上でこの家の主人は病気ですと話し合う詩と、おそらくサントリーのTVCMで見た川上澄生の挿画に惹かれて猫町がきっかけで中学生の頃に親しんだ。
街のポスターを見てそれを思い出した。というわけで世田谷文学館に行く。連休中なので混んでいるだろうと覚悟して行ったのだが、拍子抜けするほどがらがらで詩人の寂寥がある。
展示は実にうまくできている。最後に種明かしがあるが、生涯にわたる作品群をあたかも一遍の書物のように折り畳み開いた中を巡る。ムットーニの箱(この作家は、クエイ兄弟から毒を抜いて、かわりに不可思議な感傷と清潔さで世界を箱の中に構築する不思議な人だ)による朗読や、天井から腰のあたりまでを覆う巨大な詩、それから各種のオマージュ(詩を構成する字による万華鏡はおもしろい)で構成されていて、全体にモダンなセンスが実に心地よい。
それで知ったが最後の詩集の氷島は読んだことがなかった。
併設が下北沢の文壇地図で、これはまったく知らなかったので、その点からもおもしろかった。東郷青児と宇野千代、萩原葉子と森茉莉、間を縫うように坂口安吾や高木彬光、横光利一などが入る。最後は駆け足となり岡崎京子で東京ガールズブラボー。
小学校中学年と低学年用に迷宮が作られていて、子供が羨ましい。
そういえば萩原葉子(ダンスホールが縁で祖母から憎まれるが、親が憎い(世間体的にだろうが)からといって子供をいじめるのは最低だ)の作品はまともに読んだことがなかったなと気づき、ミュージアムショップで購入した。
妻がテレビで西部劇を見ているので途中から見始めた。髭がないチャールズブロンソンと実に憎々しげな顔を作ったヘンリーフォンダが出ている。見始めたのは、列車の中をチャールズブロンソンが覗き込んでいると後ろから銃を突きつけられる場面から。
妻によれば、もうプログラムピクチャ―の西部劇はやめたと宣言したセルジオレオーネのところに、パラマウントが巨額の製作費を叩きつける。金は欲しいけどなぁと迷っているうちに、ヘンリーフォンダが悪役を引き受けたり(ジェーンフォンダ曰く償いであろう)、ダリオアルジェントとベルトルッチが脚本を引き受けたりと、単なる西部劇ではなくなったので引き受けることになったらしい。音楽はエンニオ・モリコーネ。
シネスコなのだが、やたらとアップが多い。が、実にヘンリーフォンダとチャールズブロンソンがうまく顔を作るし、ここぞとなると(特に印象的なのは悪辣な地主とヘンリーフォンダの出来レースを破壊して女主人公(忘れたが有名な人)の窮地を救って酒場でまったりしているところに、中央のドアが開きヘンリーフォンダが立ちはだかったりする(逆光で美しい。というかヘンリーフォンダの姿勢の良さが素晴らしい)。
音楽がフンチャチャフニャフニャみたいなとっぽい感じで悪くない。
理由はまったくわからないが、悪の権化のヘンリーフォンダがなぜかチャールズブロンソンだけはすぐに撃ち殺さないのは、自分のために死神を用意したからだろう。あるいはゴーストライダーなのかも知れない。ハーモニカが重要な小道具で登場。
おもしろかった。
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