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日々の破片

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2024-03-20

_ 素数たちの孤独

ベルトルッチの孤独な天使たちがあまりにも素晴らしかった(一方、観ていて胸が痛くなるほど、イタい青春映画なのだが)ので、イタリアの青春文学も悪くないなと思っていた。

で、その記憶も生々しいうちに青山ブックセンターをうろうろしていたら、素数たちの孤独というハヤカワepi文庫が平積みされている(と記憶している)のに気付いた。

数学書? いや違うだろうと手に取ると、イタリアで200万部のベストセラー(人口から考えると凄い売り上げだ)の恋愛小説っぽい。

それで孤独な天使たちの記憶と相まってすぐさま購入した。

孤独な天使たち スペシャル・プライス [Blu-ray](ヤコポ・オルモ・アンティノーリ)

まま、放置していた。平積みされていたというのは出版直後だろうから10年放置の刑だったようだ。

で、連休を取ったのでつい手に取って読み始めたのであった。

これは痛い。あまりに痛い。

最初、9歳の女の子の話が導入として書かれる。

強権的な父親によって無理矢理スキー教室に通わされている。オリンピック選手を目指させたいらしいが、本人は嫌で嫌でたまらない。

ついに、猛吹雪の中でうんこを漏らして一人逃げ出す途中で崖から落ちて左足をぐちゃぐちゃに壊してしまう。

次に男の子が出て来る。一卵性双生児の妹は白痴らしい。面倒は一生懸命みているのだが、いっぽういやでいやでたまらない自分も自覚している。妹をいつも世話しているので学校では孤立している(イタリアの公立小学校には特殊学級みたいなものはないのかな?)。

唐突にクラスメートが誕生会に招待してくる(本人全然乗り気ではなく、どうも母親が無視はいけないとポライトネスっぷりを発揮したらしい。当然妹も一緒に招待されるが、妹は何も理解していない)。男の子の母親は大張り切りになって(それまで子供たちが誰かに招待されたことなどないからだ)豪華なプレゼントを用意したりする。それも男の子にとってはいやでしょうがない。

男の子は途中でやはり妹を連れて行くことはできないと考えて、公園に残して一人で誕生会へ行く。楽しい時間(何しろ妹から解放されている人生最初の時なのだ)を過ごしているうちにあたりが暗くなっていることに気付き、あわてて妹を迎えに行く。公園の川は流れる。

そこまでが導入編らしい。

二人とも高校生になっている。少女(女の子というわけでもない)は拒食症の跛としてクラスの中で孤立している。クラスには誰もがうらやむ美少女がいて(姉から聞いた話を脚色した)大人の世界を巡る冒険している自分という作り話をしまくっている。

少年は、両親をはるかに超えた知性を持ち(両親は息子の考えや言葉をほとんど理解できない。描写がおもしろい)、その知性故に教師から疎まれ、他の生徒からは距離を置かれている。何度も自殺を図っているらしきことがうかがわれる。そのためそのタイプの生徒を集めている学校へ転校せざるを得なくなる。

というところで全体の1/5。当然ボーイミーツガールになるのだろうが、読み進めるかどうか相当悩む(つまらなくはなく、むしろおもしろいのだが、あまりにイタタタタな設定の小説なんだよなぁ)

1と自分自身でしか割り切れない数が2つ、という題からして(と読み始めて理解した)痛い。

素数たちの孤独 (ハヤカワepi文庫)(パオロ ジョルダーノ)


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