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本屋でいつも探していたのだが見つからないまま、たまたま妻について図書館へ行って、なにげなくヤングの棚を見たらあった。
妻に頼んで借りてもらって読んだ。
たんぽぽ娘(ロバート・F・ヤング 著 / 伊藤典夫 訳 / 牧野鈴子 装画)
どういうコンテキストか覚えていないのだが、(奇妙なはなしのアマゾン評を読んで気にしたのかな?)とにかくたんぽぽ娘を読もうとしてから8年と半年たってのことだ。
1961年の作品なのだろうか?
1961年は、住むにはいちばんよい時代じゃないかしら!
妻が陪審員として召喚されてしまったため1人で休暇を過ごすことになった44歳の弁護士が、丘の上でたんぽぽ色の髪をした少女と出会う(21歳ということは半分以下の年齢なので弁護士にとっては十分に少女だ)。
彼女は240年後から来たと言う。大きな会社の秘書になりたいという妙な夢を語り、物理学者の父が作ったタイムマシンでやって来たと言う。
弁護士は20年前(つまり1941年なのでアメリカが太平洋戦争に巻き込まれたか、または巻き込まれるように仕込んだかの)に自分の事務所の秘書と結婚して子供がいることを話す。
どちらも家に本がたくさんあることがわかり自然と書物からの知識を通じた会話となる。240年後から来たにしてはなぜか一番新しい話題がe = mc**2だったりハイデッガーだったりするのはとても奇妙だが、二人ともそんなことには気づかない。
恋に落ちたからだ。
時間というものはとても不思議なもので、ある主体の周囲をすっぽりと囲んだままその外側だけが過ぎて行く(まるで乗り物に乗っているようなものだ)。だから自分は年を取らず、身内も年を取らない。年齢を意識するのは、完全な他者の視点(その乗り物の外)にたったときだ。
悪くなかった。
まさに掌編と呼ぶべき趣がある。
なにか不思議な気分が残る類の作品だった。
本のカバーと挿絵は牧野玲子という人が描いていて(最初萩尾望都かと思った)、ウサギとシカと白いドレスのたんぽぽ娘、それと1961年の人物というよりも19世紀末の雰囲気を漂わせた弁護士が描かれている。
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